
違約金や賠償額制限とは?
契約で守るべき事項を守ってもらえずに損害が生じた場合や物品を壊すなどの事柄が生じた場合(損害が生じることが前提)には,相手方に損害賠償請求をすることができます。契約で守るべき事柄については,建設やソフトウェア開発などについては仕様等を決めないとはっきりしませんし,特に守るべき事項ははっきりさせておかないとこのこと自体がトラブルの原因となるでしょう。それ以外に,違反などがあっても損害がいくらであるのかがはっきりしないケースがあります。
たとえば,法律で一部損害額お推定する決まりがありますが,知的財産権を侵害した場合の損害額や営業損害についてどこまで損害ということができるのかなど(ある行為の後で売り上げ減少が生じても当然にその減少額を営業損害とは言えない場合があります),損害がいくらとなるのかは難しい話です。事実関係や金額面の調査が必要になりますし,煩雑な整理が必要になります。他方で,何かがあった場合に高額の損害賠償の負担を負いたくないという期待がある場合もあるでしょう。実際,塾や飲食店などのフランチャイズ契約では違約金の定めが置かれているケースが多いですし,ITや一部士業の関係の契約(もちろん,それ以外の業種でも可能)では賠償額の上限が設けられているケースがあります。例えば,「賠償額は受け取る代金額を上限とする」といったケースです。
前者の場合には,賠償額を設定(違約金などの予定)を入れておくことで損害がいくらかという負担を減らすことができますし,後者の場合には賠償額の上限を契約上設けておくことで予期せぬ負担から身を守ることができます。これは,法律上賠償額の予定(違約金や制限)に関する決まりを契約に設けておけば,減額や増額を求めることはできないのが原則とされているためです。言い換えると,契約上(争いが出ないように契約書に記載するケースが多いでしょう)こうした規定さえあれば,問題の解決につながるので,非常に重要な規定となります。
契約上,決まりを設ける際の注意点とは?
契約書上規定を設ける際の注意点は,その規定が自社に及ぼす影響の可能性を注意しておくこと・いわゆるBtoC取引に関しては内容によっては賠償額制限の規定が無効になる可能性がある(BtoCでも可能性自体はありますが,かなり低くなるでしょう)という点です。
前者については,違約金は,違約金が生じる原因さえ発生すればその金額を支払う負担が出てきます。支払ってほしい側(原因を封じたい側)にとっては,その原因と封じるだけの違約金額の設定に注意をする・支払いをする可能性のある側にとっては,原因と金額がその契約によって得られるものと見合うのかの確認が重要になります。
後者についても,賠償額がどこまで制限されているのか・どういった場合の賠償の話なのか(それによって生じる可能性がありそうな損害額や契約によって得られるものと見合っているのか)の見極めが重要です。無効になるかどうかは法律上明確にどこまでなのかという記載はありませんが,全く免責をするような規定や重大なミスがあってもほぼ免責をするような場合には無効になる可能性があります。具体的な場面でどうかを注意する必要があります。
大きな金額が書かある場合には専門家にも相談し受けていい話なのかの見極めが重要になってきます。