法律のいろは

2019年7月19日 更新契約問題のご相談

スケルトン戻しと原状回復の際の注意点

スケルトン戻しの意味とは?

 よく知られている言葉ですが,スケルトンとは内装など何もないコンクリートの打ちっぱなしの状況を指します。スケルトン戻しとは,こうしたスケルトンの状況で貸渡したことを前提にその状況に戻した貸主にテナントは戻して物件を明け渡すという賃貸借契約の内容を指します。言い換えると,借りた後にテナント側で,飲食店やサロンに適した洗面台・調理設備などを設置した場合はその撤去が必要になりますし,当初のスケルトン状態に実はパーテーションが存在していたのであれば,パーテーションをつけておく必要が出てくるという話です。

 

 ただし,注意するべきはスケルトン戻しと原状回復の内容は必ずしも一致しないこと・スケルトン戻しと本当に言えるものかどうかは契約内容がどうなのかのきちんとした確認が必要ということです。

 これは何かといえば,原状という状態とスケルトン状態が一致しないことがあるという話です。賃貸物件を明け渡す際には,原則として入居時の状況に戻すというのが原状回復の意味合いです。ここでいう元の状態とは,テナント側がつけた設備や物品を撤去するというもので,先ほどの調理設備や洗面台や店舗やサロン用の設備をすべて撤去するという意味で,貸主が自ら付けた設備を撤去する必要はありません。また,経年劣化部分という使うことで当然に痛む・等級化したと一般に考えられる部分は原則として修理や清掃をする義務をテナント側は負いません。
 この原状回復の原則を契約で変更することはできますが,きちんと合意をしておく必要があります。

原状回復工事の内容とは?

 原状回復の内容は先ほど触れた通りで,トラブルになることが多いため,原状回復トラブルとガイドラインという国土交通省が出したガイドラインが考え方の一つを提供しています。原状回復が必要となる根拠は,テナント側は使わせてもらった物件をそのまま返却する必要があり,特に設備工事などをした部分が取り外し可能であればその撤去が必要とされるためです。この話と借りた物件そのものの補修やグレードアップを行った場合には原状回復の対象ではなく,特別な合意がない限りは貸主側が得た利益についてのお金を払う必要があります(このルール自体は法律で定められています)。
 また,あくまでも自らが設置したものの撤去が必要なだけですから,貸主側がこうした状況で使ってほしいということで自ら工事をした改造部分を直す必要はありません。

 必要となる工事は,内装をいじっている場合には内容解体工事が必要となります。飲食店であれば給排水や吸排気管関係の修理も必要です。このほか,サロンや飲食店用にクロスや床の張替えなどを行っていた場合にはこの修理や清掃も必要となってきます。

契約や原状回復の際に注意すべき点とは?

 まず注意すべきは契約内容がどうなっているのかという話です。口頭でスケルトン戻しのような話になっていても,契約書で最終的に合意をしていたのは単に通常の原状回復の場合もありえますし,どの部分を修繕するのか等を特約で合意してある場合もありえます。
 また,契約書がある一方で貸主が一部改造を行い引き渡してくることもありえますが,通常はこの部分は原状回復の内容から外れるはずです。ただ,後でトラブルになる可能性がありますから,こうした部分をどのように扱うのかは契約(物件の引き渡しを受ける時点まで)の際に貸主側と確認をしておく必要があります。後になると,どの部分を誰が工事したのか・戻すという話であったのかが不明確な話になります。
 分かりにくい場合には写真を撮っておいて契約書に張り付けるなどするというやり方もありうるでしょう。

 

 トラブルを防ぐには,実際に物件から退去する場合にどのようにするのかをきちんと貸主側と協議をしておくのも大切です。実際にどの部分を撤去しておく必要があるのか等コンセンサスをとっておくことでトラブルを防ぐ可能性が高くなります。一番は事前の確認ですが,こうした点も重要です。

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