法律のいろは

2019年6月19日 更新契約問題のご相談

施主から請け負ったリノベーション工事が終わり引き渡した後、建築基準法違反であることが判明した場合の対応は?

工事後に建築基準法違反であることが判明した場合には?

 施主からマンションのリノベーションを請負い、工事が終わり引き渡したあとで「建築基準法違反になっているため工事費用は支払えない,損害を賠償するように。」と言われ、調査したところ,実はそもそも建築基準法違反の建物であったことが判明しました。この場合,工事を請け負った業者としてはどのような対応をすればいいのでしょうか?
 

工事を請け負った業者の対応は元請との契約内容で異なる

 マンションのリノベーションにあたり、そもそも違法な部分を建築基準法に適合する形で行うことが契約内容であったかどうかで債務不履行責任を負うかが異なります。
 
 たとえばリノベーションの目的がここ最近増えがちだった空室を防ぎ、賃料収入を安定化させるためである場合、あとで建築基準法違反の建物であることが判明したとしても、建築基準法に適合させることを内容としたものではないといえるので、債務不履行には当たらないといえます。
 これに対して、当初建築基準法違反でなかった建物が、注文主の指示に従ってリノベーションをしたところ、建築基準法違反になった、という場合には債務不履行責任を負う可能性があるので注意が必要です。
 それというのも、もともと適法であった建築物についてリノベーションにより違法建築物になることについてまで、注文主が契約内容として了承しているとはいいがたいからです。また、特に建築士については、法令または条例の定める建築物に関する安全性などに関する基準に適合するよう設計を行う義務を負っているとされていますので、これに反して違法建築物になってしまったときは債務不履行ないし不法行為責任を負うことになります。

 

結果的に違法建築物になっているとき、リノベーション工事の報酬は支払い必要がある?

 リノベーションに関する工事は請負契約であることが一般的ですので、報酬は後払いが原則とされています。そのため、建築基準法に反するような工事がされたとしても契約内容に沿った工事といえないため、請負契約における報酬が発生する条件である、仕事の完成があったといえるかが問題になります。

 建築請負においては、仕事の完成は、工事が完成した最後の工程まで一応終わっていること、と考えられています。そのため、施工の状況によりますが、一応完成しているとされることが多いでしょう。

 そうなると、予定された工事がすでに終了しているのであれば、報酬自体は支払わないといけないといえます。
 

まとめ

 国土交通省の完了検査(原則竣工後に完了検査を受け計画時の確認申請で審査された内容に適合しているかどうかという検査に合格したかどうか)の取得率の推移に関する統計によれば、20年以上前の建物は極端に完了検査を受けている割合が低いといえます。平成のはじめ頃の築30年を超える物件になると完了検査を受けている物件自体がまれになるとされています。
 

 こういった物件については実際にリノベーションをしようと思ったときに完了検査を受けていなかったことが判明し、用途の変更が出来なかったり、銀行からの融資を受けられなかったりというリスクも発生します。

 ですから、特にリノベーションを行う際には、少なくとも工事の内容や範囲について契約書に明記した方が無難です。
 

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