折角契約をしても,その内容が不明瞭である・どうとでも解釈できるという場合の問題点について,前回触れました。今回は契約の内容について詳しくは決めていなかった場合に,どのように考えていくのか等を触れていきます。
契約をする際に,取り決めていない部分は専門用語で「合意の欠缺」と呼ばれるものです。単に,取り決めが十分なされず欠けているという意味です。実際に取り決めていない部分が問題にならなければ,取り決めていない部分がどうなるのかを気にすることは実際上ないでしょう。問題は,何かしら契約通りに話を進めていく際に,取り決めていないところをどうするかがポイントとなった場合です。
こうした場合には契約の解釈が問題となり,一定のルールが存在します。まず,他の項目から見て問題となる部分はこういった内容であろうという解釈をしてみることになります。ただし,解釈に名を借りたルール決めの側面もありますので,契約をした側双方で認識が違いトラブルになる可能性もあります。
次に,法律の任意規定という決まりに従うというものです。法律の任意規定とは,個々の話に即して簡単に言えば法律で定まっている契約に関する特定の事柄の決まり事といえます。たとえば,特定の車を売買する際に引き渡し場所を決めておかない場合があるとします。この場合に,法律上こうしたものの引き渡しは契約時にその車が存在したところとなりますから,たとえば車のデイーラーのところにあったのなら,そこに取りに行くことになります。
こうした決まりは契約をする双方の合意で別の取り決めをすることができます。また,該当する決まりが法律の中に存在しない場合には,任意規定によっても契約内容の穴埋めはできないことになります。その場合や他のルールから,別のところから穴埋めができるかどうかを考えていきますが,これらは次回に続きます。