
以前も触れましたが,契約書の役割の一つとして言った言わないを防ぐ・後で契約の内容が問題にならないようにするということが挙げられます。
書面にしておくことは重要ですが,そこに書かれている言葉が契約した側双方でどうとでも解釈できるということでは,契約内容に関する紛争が起きかねない点には注意が必要でしょう。仮に,契約を口約束でしたにしても書類で下にしても,曖昧でどうとでも解釈できるのであれば,わざわざ書類で取りまとめておく意味はなくなるためです。これは予め様々な項目が定められている約款や規約であっても同じです。
似た話として,契約書に書かれている言葉が不明瞭で,他の説明ややりとりを見ても明らかでない場合もあります。この場合には不明瞭にした側に不利益に契約の内容を解釈されるリスクがありますので,せっかく契約書を作るのであれば注意をしたいところです。そもそも契約書がない場合にはこうしたリスクはさらに高まる可能性があります。
特に約款など取引をする一方だけが各項目や言葉を準備しておく場合には,せっかく準備できるのに不明瞭でどのようにも解釈できるようにしておくことが,約款を準備した側の不利益に解釈された裁判例もあります。ケースバイケースの点はありますが,こうしたリスクへの注意は必要ではないかと思われます。
契約で決めていない事柄であったとしても,一般に合意内容出かけた点を埋めるルールは存在します。ただし,その場合はそのルールに従って決めていない事柄が決まることになりますので,それとは違う取り決めをしたいと考えているのであれば,その部分についてはっきりとした合意をしたうえで契約書でそのことを残しておく必要があります。
契約で決めていないことがどう解釈されるのか等の話は次回に触れたいと思います。