法律のいろは

2019年5月5日 更新契約問題のご相談

親の所有する不動産を有効活用するにはどのような方法がありますか?

はじめに

 親が不動産を持っているが、まだ元気なうちに有効活用したい、不動産の価格が上昇していることから、相続税対策もしておきたい。相続人になる子供たちが引き継ぐ場合には、もめない形にしたい・しておいてほしいという要望もあるでしょう。

 そういった希望を叶えるにはどういった方法があるでしょうか?今回はこのような不動産を有効活用するための方法について取り上げます。

民法で定められている制度で、親の所有する不動産を有効に活用できる?

 親の所有する不動産の有効活用をするには、不動産を引き継ぐ先を遺言によりあらかじめ決めておく、本人に代わり財産の管理・処分を託すといった方法が考えられます。

 ただあらかじめ相続持ち分などを指定しておく遺言の場合、遺言を残した人が亡くなってから、効力が現実に発生することになります。そのため、遺言により遺産を引き継ぐ人が遺言の効力が発生するまでに不動産を活用しようと思っても難しいといえます。

 また、親が判断する能力が衰えるまでに、誰かに財産管理について委託する契約を結んでおくことも考えられます。ただ、これについても財産の適切な管理の中に、不動産の積極的な活用や投資などの運用まで含めるのは難しく、これだけでは有効な活用までできない、といった難点があります。

 同じく、親の判断能力が衰え、不動産などの管理が難しくなってきたときに利用する法定後見制度(成年後見、保佐、補助の制度)も、成年後見人などは不動産の適切な管理までは出来ても、土地活用や投資までは権限で行うのは難しいとされています。たとえば、親が住んでいたが現在施設に入ったため、空き家になっている不動産を有効活用しようと思っても、居住用不動産として処分には家庭裁判所の許可が必要で、現実的に処分するとなると制限がかかってきます。

 したがって、民法で定められている遺言や財産管理契約(これは委任契約の一つとされています)、法定後見制度では、親が元気なうちから不動産の有効活用が出来る仕組みにはなっていないといえます。

最近注目されている民事信託では可能ですか?

 最近では,民事信託という制度の活用が進められています。民事信託は他の人の財産管理を行う一つの形態で、財産を一定の目的のもと・特定の誰かのために権利を財産を管理する者に移転させるものです。
 民事信託契約を、親が元気なうちに行っておくと、相続税対策・借り入れによるアパート建築など、積極的な不動産の有効活用も可能になります。二次相続以降の相続が発生したときでも、財産を引き継ぐ先を指定できるメリットがあるとされています。スキーム作成にあたっては、遺留分(亡くなった方の配偶者や子供に一定の生活保障をさせるために遺産を一定程度確保するための制度)への配慮などが必要です。

 スキーム作成する上では、将来かかる可能性がある相続税などへの配慮が必要ですが、親の判断能力が衰えて以後の期間にも不動産の活用が出来るようにしたいのであれば、利用を検討してみるとよいでしょう。

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