法律のいろは

2019年1月15日 更新契約問題のご相談

貸している物件が「ゴミ屋敷」に。対応はどうすればいいのでしょうか?契約解除と立ち退きの請求は可能でしょうか?

ゴミのトラブル

 アパートオーナーにとって,ゴミのトラブルはゴミの出し方の問題(とそれに伴う近隣の方やアパート住民同士の対立)と貸している部屋自体にゴミが散らかっている場合が大きな問題かと思われます。双方とも事後の対応も大変ですが,入居時からゴミの出し方のルールを守ってもらうことや不潔状態に部屋をしないことを注意しておくことが非常に重要です。

 

 ただ,個別の部屋の使い方は契約で使い方を定めていてもその範囲では自由ですし,借りている部屋の状況を悪化させないように使う義務を借主は負っていますけれども,その違反をチェックすることは非常に大変なことです。そのため,事後での「ゴミ屋敷」(ゴミ屋敷が何かを一言でいうのは難しいですが,ここではゴミが山積みにされた状況になっている物件・部屋を言います)の対応は他の部屋の方からの苦情・見回っていても明らかにわかるようになってからのことになりがちです。

対応はどのようにすればいいのでしょうか?

 部屋をきちんと利用し続けてもらえるならばそうであるに越したことはありません。そのため,注意や苦渋の内容を伝える・是正が必要な理由とどんなことをしてほしいのかを伝えるのは必要です。可燃物や火災が起きる危険のあるものが積み重なって放置されているのであれば火災の危険がありますので,そのことを伝える必要がありますし,害虫や臭いの問題があればそのこと及び是正内容をきちんと伝える必要があります。

 

 問題はそれでも是正されない・一度は是正されるもののすぐ元と同じような状態になる場合です。こうした場合には他の住民(借主)のためにも・契約解除と退去による空き室の上昇などを防ぐためにも,問題となる方への退去を考えていくことになるかと思われます。ただし,裁判例上,単に契約上の不潔な状況等にしないという項目の違反・こうした項目がない場合に,問題行動があるからというだけでは,賃貸借契約の解除と退去は認められません。「信頼関係」が破壊されたという事情が要求されており,ケースごとの事情によるところはあります。

 

 注意をして一時的に状況が改善したという点は信頼関係が破壊されていないという点を示す事情にもありますが,再度悪化して注意をするという状況が繰り返されている場合・そもそも注意を聞くこともなく放置をして状況が悪化している場合は,信頼関係が破壊されている根拠の事情になります。また,「ゴミ屋敷」とはなんであるのかはっきりしない点があり,多少ゴミが存在する・掃除をしていないというだけでは信頼関係を破壊しているとは言いにくくなります。その意味で,ゴミが存在する状況等がどうであるのか・悪臭が相当発生している,火災などの危険が大きく生じているのかといった点も重要になってきます。

 オーナーとしては管理会社とも相談の上,どうなのかを考えていく必要がありますが,判断に困った際には弁護士に相談をするのも方法の一つかもしれません。いずれにしても,近隣の方から苦情が来た際には,現状確認と問題を起こしている方への注意は少なくとも必要になるものと思われます。

 

 問題は契約解除をしたうえで,退去やゴミの撤去をどうするのかという点も大きなものです。問題を起こしている方が退去に応じない場合には裁判手続きを踏む必要があります。そのうえで強制執行という手続きに至る場合もあります。裁判の中でも話し合いがつかない場合です。強制執行や退去とゴミの撤去になりますが,問題を起こした方に支払いをするだけのお金がない場合には,オーナー負担のリスクはあります。保証人となっている方に支払い能力があれば,費用は支払ってもらうことになるでしょう。保証人は今後民法改正後は保証会社が増える可能性もありますが,これまで通りの個人の保証人の場合には,保証人を介して任意の退去を説得してもラうなどするのも対応方法の一つにはなりえます。

 いずれにしても,解決に至る道はそう簡単ではありませんので,注意が必要です。

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