ホームページ作成業者に依頼をしてホームページを作成してもらった場合,アイデアや載せる素材などを依頼しているエステサロン様などが提供をしているのだから,依頼したエステサロン様が完成したホームページを受け取り代金を支払うと当然、著作権を持つようになるように思えます。
しかし,実際にはあらかじめホームページ作成業者との間で作成に関する契約をするときに取り決めをしておかないと、当然には依頼したエステサロン様には法律上帰属しない可能性がありますので、注意が必要です。

ホームページ作成業者にホームページ作成を依頼した場合の契約内容は?
エステサロン様などがホームページ作成業者にホームページの作成を依頼する場合、ホームページの完成によってその対価が発生するのが通常ですから、請負契約によることになります。
作成されたホームページ自体は完成により所有権が依頼をされたエステサロン様に移転しますが、通常は一旦作成されたホームページに書き込みが出来るような仕様になっていることが多いでしょう。
請負契約だけであれば、著作権についての定めがないため、後で修正や加筆をしたい場合には、著作権についてもエステサロン様に移転するとしておかないと、修正や加筆が出来ない可能性が出てきます。
作成してもらったホームページは著作物にあたる?
まず、ホームページ業者が作成をしたホームページですが、発注をしたエステサロン様の店やお客様などに対する想いなどが書かれたものですので、思想または感情を創作的に表現をしたものといえ、著作権法にいう、著作物にあたります。
ただ、「創作的」といっても独創的であることまでは必要とされていませんので、著作者の個性が表れていればよいため、上記のようなホームページサイトでも著作物にあたるといえます。
著作物にあたるとなると、著作財産権・著作人格権(後述します)が発生することから、そういった権利が誰に属することになるかが問題になってきます。
作成してもらったホームページの著作権は誰のもの?
ホームページが著作物にあたるとすると、いつ著作権は発生し、だれが有することになるのでしょうか?
著作権は特許権などと異なり、登録なく発生するとされていますので、ホームページが完成したときに特に何もすることなくして発生します。
そして、著作権は、著作物を作った人に属することになります。ですから、ホームページの著作権は本来ホームページ作成をした業者が持つようになります。これは提供した素材などがエステサロン様であっても同じです。
ですから、ホームページ作成業者がホームページの著作者となり、著作権、詳しくは著作財産権と著作者人格権(後で触れます)を持つことになるのです。
発注者であるエステサロンがホームページに加筆修正等出来るようにするのに注意すべきことは?
このように、せっかくお金をかけてホームページを作成しても、本来著作権はホームページ作成業者のものになりますので、作成を依頼する際に何も手当をしていないと、あとでエステサロン様が自由に加筆したり修正することが出来なくなりかねません。
そのため、エステサロン様としては、作成を依頼したホームページが完成した時に、ホームページの著作財産権の移転を受けられるように決めておく必要があります。
ここで著作財産権とは、著作権の財産的な部分をいいますが、具体的には翻訳などしたりする権利(著作権法27条・28条規定の権利)については、契約でこれらの権利も一緒に移転すると別途決めておかないと元の権利者のところに残ってしまうので注意が必要です。
また、著作者人格権とは、著作権の人格的な部分に関するもので、具体的には
・公表権(まだ公表されていない著作物また著作者の同意を得ずに公表された著作物を対象)
・氏名表示権(著作物を利用する者が特に意思表示なければ著作物について著作者が表示しているところに従って著作者名を表示)
・同一性保持権(著作物の性質ないうし利用の刻的・態様に照らしやむを得ない改変は著作者の同意なくても可能)
があるとされています。これらの権利は人格的なものになるので、その著作者自身に属するものであって、譲渡できないとされています。
ただ、そうなるとホームページ作成業者が氏名表示権や同一性保持権を主張してサイトの加筆修正ができなくなる可能性があります。
そのため、実務上は著作権をめぐってトラブルにならないよう、作成業者が著作者人格権を行使しないといった条項をあらかじめ入れておくことが一般的に見られます。
まとめ
このように、お金を払ってせっかくホームページを作ってもらっても、あとで内容が変更できないようでは使い勝手が悪くなってしまいます。
エステサロン様からホームページの作成を依頼する際には、契約の中で著作権についてもきちんと取り決めされているかしっかり確認をした上で、進めたいものですね。