法律のいろは

2018年12月29日 更新契約問題のご相談

自社のホームページなどを発注する際に注意をしておきたいこと

 当事務所もそうですが,現在,ホームページを持っていない会社は少なくなってきていると思われます。ホームページの制作の形も,テンプレート式の簡単かつ費用が数万円で済むものから,一通りの形を整えた数十万円程度のもの,システム開発を行う要素のある数百万円単位の形態のものまで様々です。
 制作後の運用もリステイング広告等の広告やSEO・MEO対策まで行うものから,単に存在するものまでいろいろと考えられます。今回は制作発注と受領までを含めて注意をしておきたい点を簡単に触れておきます。

① どのようなものを制作するのかをはっきりしておく

 先ほど触れた数百万円単位のものであっても,大手ITベンダーがかかわる大規模なシステム開発でもない限りは,要件定義書の作成・基本設計書・詳細設計書までを作って仕様や契約形態をはっきりさせる形態は小さな会社ではまれではないかと思われます。もちろん,ワードプレスなどを使っても開発内容が多く・工数も多い・打合せ工数も多い場合にあっては,小さな会社であっても大規模なものになる可能性はあります。

 いずれにしても,明確な仕様書や契約書がない限りは,厳密に何を制作するのかがはっきりしないことがあります。事前に見積書を制作会社側から出されるのが通常ですが,そこには必要になる工程と工数・単価が書かれていますが,はっきりと仕様がどうであるかまでは書かれていません(もっとも,この内容からおおよその仕様まではわかります)。通常,ホームページの制作やシステム開発は,開発内容に応じた工数×単価(人件費と利益を込みにしたもの)の開発内容数の合計であることが多いと思われます。ここを頭に入れて制作してほしい内容と予算との兼ね合いを検討していくのがいいように思われます。ちなみに,同様のことが動画の制作などにも当てはまるところです。

 どのような仕様がいいのか(制作をしてほしいのか)は打ち合わせなどではっきりさせておき,行き違いがないようにしておくのが重要です。小さな会社のホームページ制作でテンプレート形式でない場合には,それなりの内容が入るかと思われますが,口頭で曖昧なままであると後で発注内容(契約内容)がなんであったかが争いになることがあり得ます。また,あいまいなまま話を進めると,そもそも契約をしたのか(正式に発注をしたのか)もトラブルになることがあり得ます。
 

 こうした争いは話を進めていくうちに,どうも思ったものとは違うというところから,それでは発注していない等ということで開発業者側ともめて,開発を行った部分までの代金を請求されるという形の中で争いになる可能性があるので,注意が必要です。

② 制作中で修正をお願いする際に追加費用が生じるのかなどをはっきりさせておく

 ホームページの制作やシステム開発では,最初に仕様を決めておいても制作中に内容を調整することは通常多いと思われます。調整をすると開発側の工数が増える可能性がありますので,調整の程度が多いと追加料金の請求をされることもあり得ます。

 その際に問題となるのは,当初の仕様の範囲内といえるかどうかという点です。仕様の変更を明らかに伴う場合には,当初の開発工程内容に変更が出てきますので,追加開発工数が出てきます。開発工数×単価の合計が代金ですから,当然この場合には追加料金の話が出てきます。ただし,誤字の修正やホームページ内のボタンを変えてもらうなど小さな修正では,ここでいう話には該当しません。

 いずれにしても,当初の仕様がなんであったかをはっきりさせておくとともに,修正を求める際には仕様変更を伴うものか・追加料金が出てくるものなのかを確認しておいたほうがいいと思われます。

③ 制作後のバグの問題や権利関係をはっきりさせておく

 ホームページなども制作後は納品をされます。その際,通常は「検収」という発注者側による正常に機能するかどうかの確認をし,問題がなければ完成と引き渡し完了(言い換えれば,代金の請求ができる)とされているかと存じます。仮に契約書を作成している場合には,「みなし検収」といって納品から一定の日時にバグなどの報告がないと問題がないと扱う旨の定めが入っているケースがあります。こうしたケースでは,後で文句を言うことができなくなるので注意が必要です。

 また,プログラミング結果であるソースコードやその他開発されたものの権利関係は,特に契約書で別に定めていなければ,制作の代金支払いにより発注者側に移転します。こうした点などに特別の定めがあるかどうかは契約書がある場合には注意が必要でしょう。

 このほか,制作したホームページ内等に他の人が著作権を持っている写真その他が使われている場合には,そうしたものがどうなっているかの確認を開発業者にしておく必要があります。大半の開発業者はそうした点をクリアしているかと思われますが,後でのトラブルを防ぐ方法の一つにはなるものと思われます。

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