高齢化社会が進む中で,高齢の独居の方が増えています。そうした方に部屋を貸さないという選択肢も家主にはありますが,諸般の事情からそうした賃借人は増えていくかと思われます。保証人がついているからという話もありますが,支払い能力などに問題がある場合にどうすればいいのでしょうか?

① 保証人の役割と限界
これまでの法律では保証人は,単に家賃の未払いがあった際に支払いをするという負担のほかに,賃借人が部屋を壊した際の弁償や敷金では足りない現状回復(自然の劣化以外の部屋の状況を借りた時点のものに戻す)など様々な負担を負います。
こうした負担を負うといっても,保証人自身がいざ負担を家主に求められた際に支払い能力がない(高齢であるその他さまざまな事情が考えられます。何年も借りている際には,その後の事情の変化は様々予想されます)場合には,実際の対応面に問題が出てきます。
ちなみに,保証人は保証会社の保証を入れるケース・個人の保証人を立ててもらうケースがあります。このうち,後者の場合に今述べた話が当てはまりますが,それだけでなく,2020年4月以降は法律の改正によって,個人の保証人をつけてもらう場合に規制が厳しくなります。
個人の保証人がすでに亡くなっている場合には,すでに発生している未払いの家賃などの支払義務は保証人の相続人が引き継ぎます。ただし,この方たちが相続をしない(相続放棄という手続きを法律で定められた期間内に取る必要があります)ことも十分あり得ます。こうした場合には未払いの家賃の回収リスクも出てきます。
② 賃借人の相続人に対して対応を求める場合
以下の話では,個人の保証人をつけてもらっていたものの,その方の支払い能力名護がない場合を念頭に置きます。
アパートなどの賃貸借契約は賃借人がなくなっても終了はせずにその相続人に引き継がれます。高齢の独居の方の中には,兄弟や子供と音信不通の場合がありますので,こうした相続人にあたる可能性のある方を探すのが面倒なケースがあります。連絡先を契約の際に書いておくなどの対応がありますが,こうした対応に限界があり,まさしく問題が発生した場合には,弁護士に依頼して調査とともに対応を求めるのも一つの方法でしょう。
いずれにしても,こうしたケースでは,相続人に対して撤去などを求めることがあります。ただし,先ほど述べた保証人の方同様に相続しないという選択をされる可能性があります。この場合は残された荷物の処分などとの兼ね合いで退去の手続きをどうするのか・荷物の処分をどうするのかなどをこうした相続人とも話しながら解決を図る必要があります。
③ 相続人がいない場合
こうした場合が一番面倒なケースです。面倒なので,勝手に部屋に立ち入り荷物を処分という気持ちも出てくるところですが,後に相続人が判明した場合に勝手に捨てた点は問題になる可能性があります。
こうした場合には,相続財産管理人を選任して撤去などの話を進めることになります。どういう方法がいいのかは状況によって異なってきます。困ったときには管理会社だけでなく,弁護士など専門家に相談をしてみるのも一つの方法でしょう。