法律のいろは

2022年5月6日 更新契約問題のご相談

賃貸借契約での更新拒絶や中途解約で問題となる「正当な理由」とは(その③)?

賃料不払いの存在や周りへの迷惑行為などはどう考慮されるのでしょうか?

 賃料の不払いや周りへの迷惑行為,賃貸借契約書で予定された用法に反する用法等が存在する場合,中途解約や更新拒絶と同様に物件の明渡しを求めることになります。この場合は,賃貸借契約への違反を理由とした解除を行います。そのため,中途解約などを行う必要性まではありませんが,他に利用の必要性があるなどの場合には,契約解除・中途解約の申し入れの双方を行うこともありえます。

 中途解約の場合の「正当な理由」と契約解除で裁判例上要求されている「信頼関係を破壊する事情」はいずれも,様々な事情を総合考慮するもので裁判になった場合には,裁判所の評価によるものになります。そのため,裁判例で示されたものが参考にはなりますが,確実とまでは言えない面があります。つまり,どちらであれば確実に有利なのかとは言いにくい面があります。今述べた事情が「正当な理由」においてどこに位置づけられるのかという点ですが,賃貸借契約に関するこれまでの経緯内容の一内容ということができます。「正当な理由」の判断では,貸主・借主それぞれがその物件を必要とする必要性の程度がメインと法律上はされているため,この要素はサブで考慮される要素ということになります。

 そのため,「正当な理由」を言うのであれば,例えば,貸主側が運転資金などを確保するために早急に物件を売る必要がある(それもオーナーチェンジというだけでは無理な事情がある)ことや建て替えがどうしても必要な事情その他の事情があるのかどうかも考える必要が出てきます。ただ,借主側も居ぬきで借りた物件に相当手を加えた(お金をかけた)という場合には,「正当な理由」が認められるハードルが上がりますので,こうした事情もあるのかをよく考える必要があります。

 

 「信頼関係を壊す事情」がどの程度あるのか,迷惑行為であれば,その内容や回数・注意しても是正されたのかどうか・家賃未払いであればその期間や是正の有無などを考慮して見通しを立てる必要があります。話し合い段階であればいずれにしても,立退料等も提示して交渉を行うという方法がありますが,どのようにするのかは相手の反応や契約違反の内容次第になります。もちろん,早めに解決を図る必要が大きければ,時間をお金で買うという側面も含めて考えていくことになるでしょう。

 

 このほか,これまでの家賃が少なすぎたという点は,家賃の増額請求の制度(合意ができない場合の制度)が存在しますので,基本はこちらで解決を図る必要があります。この制度を使わないことが「正当な理由」になるとは考え難く(本来はこちらで対応すべきと考えられるから),借主側も家賃額次第では退去する可能性もありえますが,この制度を使って話し合いを行うことも方法としてはありえます(増額請求の制度も裁判所の手続きであってもまずは調停という話し合いが必要とされています)。

立退料は居住用と営業用物件でどう異なるのでしょうか?

 結論から言えば,営業用物件の方が相当高くなります。理由は,移転の際の休業補償などの営業補償が存在するため,ケースにもよりますが,休業が必要になるケースや移転することで営業規模に影響を与えるケースではその保証金額が高額化することが考えられるためです。これに対し,居住用物件の場合には,生活上の損害というのは一般にはそこまで考えられませんので,代替物件を探す必要などは生じますが,営業用物件での先ほど述べた以外の代替物件を探す費用(同等の営業を行う物件が規模などから確保しにくいこともありえます)が大きくなる可能性もあります。

 立地条件や事業内容によって影響を受けますので,「正当な理由」を考える上での立退料の水準に影響を与えることれらの点は無視はできません。

 別のコラムで触れています公共収用に関する補填の基準や不動産鑑定評価の基準も参考に対応を考える必要があります。

 

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