法律のいろは

2020年10月2日 更新契約問題のご相談

賃貸借契約(借地契約)で禁止をしている「増改築禁止」の項目に該当する修理や改築とは?

「増改築禁止」の特約の意味とは?

 特に古くからの借地契約(土地を貸してそのうえに,建物を所有する形のもの。建物所有目的の借地契約)の中には「増改築禁止等」の特約が設けられていることがあります。最近は延長のない建物取り壊し予定の契約も存在します。古い時代には建物の内容によって契約期間や更新に影響がすることもありますし,建物の利用形態は貸主と借主の信頼関係に影響を及ぼすということもあり,こうした特約が入っている契約も存在します。特約の有効性やどういった場合に無断の「増改築等」に該当し契約解除その他を求める根拠となるのかでトラブル(裁判など)になったケースも多く存在します。

 

 建物の修理などは,こうした借地契約については,所有者が土地を借りている方になりますから,借りた側で行う必要があります。こうした修理から建物の構造や利用形態を変えるリフォーム等建物に手を加える形は様々ありますから,どういった場合が「増改築等」にあたるかは大きな問題です。また,通常,無断での「増改築等」が禁止されていますから,協議をどうするのか・許可をしないままでいることに問題があるのかもトラブルなどの原因となることもありえます。

 ちなみに,こうした条項自体は有効であると考えられていますから,主な問題は「増改築等」に当てはまるのかどうかという点が考えられます(合意の有無や許可しないことの問題は別にあります)。

どのような改築が該当するのでしょうか?

 既に利用目的で想定されている範囲で手を加える・修理をするということであれば,当初契約で合意をした範囲内ですから,特約で禁止をされた内容であると解釈することは難しいでしょう。このように,建物に対して手を加えることの全てを特約で禁止している「増改築等」とみることはできませんので,どこが該当するのかを事前に見極めておくことがトラブル防止のために重要になってきます。

 

 建物の現状維持をするにすぎない修理(修理による一部の備品その他の交換で新しくなった部分が出てくる場合)をここでいう「増改築等」に含めることはできません。例えば,古くなった建物の屋根の修理や外壁塗装を行う場合などです。ただし,裁判例も存在しますが,耐震補強を行う等の公示を組み合わせる場合には,建物の強度が大きく変わりますし,それによって利用形態が変わる可能性もあります。こうした場合には当初契約で想定されていた以外の利用形態への変更もあるがために「増改築禁止等」に該当することとになりかねません。建築基準法違反になる項目が存在し,その是正のために工事が必要になる場面が出てくるかもしれませんが,そうした場合には工事の内容によってはこうした事柄に該当することもありますから,事前に確認が必要になるでしょう。

 

 実際には具体的な工事の内容やそれによる影響を見てみないといけませんが,単なる修理(簡単なもの)という程度や利用形態や建物の存続年数が大きく変わるほどの工事でもない限りは「増改築等」には該当しにくいものと思われます。そのため,建物の利用形態を当初のものから変更するために手を加えるのは,土地の所有者・貸主の許可を得ないとトラブルになる可能性があります。

トラブル防止のためには?

 何が問題となる「増改築等」に該当するのかは難しい判断が必要ですし,建築や法律上の知識が必要となります。こうしたⓠ慈円に専門家に相談をしておくことや貸主側に許可を求めること(そのために必要な説明をすること)はトラブル防止のためには必要と思われます。また,増改築に関し貸主側の許可を得られない場合には,法律が定めている増改築許可の申請を裁判所に行うことが考えられます。ただし,この方法も法律が定める要件を満たしていることが必要です。そのため,こうした点を含めた見通しについて専門家に事前に相談や情報整理を行いながら,対応を貸主としては行う必要があります。

 貸主の側としても,借主の動きや予定している建物に手を加える内容や説明内容・自らが許可をしなくても許可がなされる性質のものかどうかを確認する必要があります。必要があれば,貸主側に説明を求めることになるでしょう。

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