法律のいろは

2018年9月21日 更新契約問題のご相談

契約書を作る意味とは?

 大きな受注金額の際には経済産業省が発表しているモデル契約書を使うケースが多いと思いますが,受注金額が比較的小さな場合には見積書と口頭の承諾だけで制作を開始しているケースが相当数あるのではないでしょうか?

 発注者側・受注者側それぞれ問題があるところですが,以下簡単に触れておきます。

契約書の意味とは?

 ソースコードなどの著作権,代金の支払時期,途中で制作をやめ契約解除される場合にどうなるのかは法律で決まっています。ホームページやシステムの開発は多くは請負契約と呼ばれ,仕事の完成を目指すものになりますが,契約書で合意を特にしていない事柄は,法律で請負契約について定めていること・著作権について定めていることなどに従うのが基本です。
 こうした法律で定められているデフォルトルールとは異なる合意をする・合意を証拠として残しておくことなどが契約書を作成しておく大きな意味となります。

発注者側にとって問題となること

 大きなシステム開発で受注金額も大きくなる場合,受注者側(IT企業・ITベンダー)が契約書を作成していることが多くなってきます。大がかりな開発では,いわゆるウォーターフォールモデルの開発であれば,打合せで要求定義→要件定義を作成して,開発する大枠を決め,それに基づき基本設計→詳細設計を作成して,開発に至ることが通常でしょう。
 こうした際に,最初に基本契約書という形で合意をして,その後は個別の開発段階で契約書を作成して契約をしていく形もあるところです。このような場合は,当初の基本契約書の位置づけが何か・個別に契約書を交わすことなく実際の開発作業などに入った場合に,そうした段階の契約が成立しているのか,どんな内容の契約なのかが問題になることがあり得ます。
 見切り発車型で開発に至った場合には,契約が成立しているのか・どんな契約なのか等途中で開発をやめるとした場合にトラブルが大きくなってきます。

 このほか,発注者(ユーザー側)にとっては,制作を途中でやめた際に,契約の性質上仕事を完成させる責任を負わないということを受注者側から主張された場合どう対応するか,など問題となってくる点が出てきます。
 いずれも,きちんと契約書を作っておく・今出てきている契約書はどんなものであるか・何をいつまでに開発するという話で合意をしているかなどをはっきりさせておく必要があります。その意味で,契約書はあればいいだけではなく,中身などもきちんと吟味しておく必要があります。

受注者側にとって問題となること

 受注金額の大きな大がかりなシステム開発では上で述べたことと同様なことが受注者側にも逆の意味合いから当てはまります。

 これに対し,大がかりなシステム開発を特には伴わないホームページの作成などの場合には,受注金額も小さくなりがちです。そのため,見積書を出しているだけということもよくあり,開発内容も打合せを通して示して言って合意することも多いものと思われます。
 こうした場合は,そもそも開発をする合意がされたのか問題になることがあり得ます。合意をしていない場合でも一定の場合には発注者側に支払義務が生じる場合もありますが,すべてを開発した部分までの開発代金相当額ではないことが通常です。こうしたトラブルが生じかねないうえに,具体的にどのようなものを・いつまでに制作するか等が曖昧なことも多くなってきます。建物建築などと異なり,実際には開発をしながら調整していく側面があるものの,具体的な開発をするものの合意がないと後でこのこと自体をめぐるトラブルが出てきかねません。制作しても検収(受注者側による動作確認など)をどうするのか・著作権の処理をどうしておくのか等は法律のルールによることになりますから,その点の意識も重要になってきます。
 こうした問題を起こさないために,契約書の内容をきちんとしておいたうえで署名しておくことは重要な意味合いを持ってきます。無理に複雑な内容にしておく必要はありませんので,ニーズに応じて対応をしておくことでトラブルを避けられます。

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