就労支援のサービスを提供している場合には,雇用の場を提供しているとともに,障害福祉サービスの提供という側面があります。サービス提供中の事故ということであれば,サービス提供を行うにあたっての安全な環境やもめごとが起きないように,障がい特性を把握したうえでのトラブル防止を図る義務が一般論として事業者にあることから,この違反があったか問題になります。違反があれば損害賠償請求の問題が生じることもありえます。
例えば暴力行為があったのではないかとされている場合に,そうした行為があったのかどうか問題になりえます。利用者の間で暴力行為があったのか自体が問題になっている場合に,特にケガの話もなく,実際にあったとされる頃何かしら暴力の話もなかったという場合には,暴力行為があったかどうかを問題にする必要があります。ここで安易にあったことを前提に話をすると,別にトラブルになりかねないという問題が出てきます。仮に,A型事業所で労災にあたるということが問題にされた場合,当然事実関係は問題になるので,きちんと事実関係の把握をしたうえでの対応が必要になってきます。
他方で実際に暴力行為があった場合には,どのように管理されていたのかは問題になります。問題特性(行動面での問題や心理面の問題など)を把握していた・人間関係が悪くトラブルに至る可能性(その前から小競り合いがあったなど)の場合には,たとえ成人同士の話としても同じ現場に職員を配置するその他の対応が取れたのではないかということが問題になることもあります。ここは実際にはケースごとの状況や人員を配置するなどが可能だったのかどうかなどが重要な点となるので,業務記録でどのように書かれていたか等の把握が重要になります。これは事後の話ですが,事前には声掛けなどの対応でトラブルが起きないように,大きくならないようにしておく必要があるでしょう。