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法律のいろは

2020年5月20日 更新行政規制

商品やサービスの割引券や金券を配る際にどんな法的な規制がある?

はじめに

 商品やサービスの割引券については10パーセント引き,20パーセント引きといったチケットを以前から見かけることが多かったと思います。最近は,新型コロナ感染拡大で打撃を受けているお店の未来を応援するという意味合いで1000円券,2000円券といった金券も出ています。こういった商品やサービスの割引券,金券にはどういった法的な規制があるのでしょうか?

商品やサービスの割引は景品表示法の「値引き」といえるかが問題に

 上記のように,商品やサービスの割引については,以前より何かのイベントの際におまけのような形でチラシに印刷されている,といったものはよく見かけられたことと思います。
 こういった割引については,商品やサービスの価格に関するものであり,「景品表示法」という法律の規制を受けます。
 「景品表示法(以下,『景表法』といいます」とは,正式には「不当景品及び不当表示防止法」といいますが,消費者が購入する商品やサービスの品質や内容,価格などを偽ることで表示を行うことを厳しく規制するとともに,過大な景品などが提供されることを防ぐことで,消費者が自分でより良い商品やサービスの提供を合理的に選べる環境を整えるための法律です。
 景表法というと,「この技術は日本ではわが社だけが採用しています」という表示をしているものの、実際には別の会社でも同様の技術を採用していた,という場合(「優良誤認表示」といいます)や,「今なら半額で提供中!」と記載していながら,実は通常価格の半額でない料金でサービス提供を行っていた(「有利誤認表示」といいます)場合への規制が良く聞かれます。今回取り上げます,キャンペーンを行うにあたり購入者に品物などを提供する、というときはこの景表法の景品規制にあたらないかが問題になります。行政からの通達などで「景品類の価額の最高額若しくは総額」「提供の方法」などを規制しているのが景品規制になります。
 この景品規制が適用されないケースが大きく分けて2つあります。一つは、そもそも提供するものが「景品類」に当たらない,という場合,もう一つは定義からすると景品類にはあたるものの,例外的に規制から外れるといったものです。
「景品類」は①顧客を引き寄せるための手段として、②事業を行う者が自分の提供する商品やサービスの取引に付加して,③商品などの提供を受ける者に対して提供する物品やお金その他経済的な利益をいうと定義されています。通常の商慣習の範囲内の値引きやアフターサービスなどは景品類の要件を満たさないので規制の対象外とされているのです。
 ですから,「値引き」にあたれば,景品規制はあたらず,価額の最高額や総額,提供方法の規制にかからないことになります。具体的には,
・支払う対価を減額する場合
(2000円お買い上げごとに次回の買い物で200円引きにします,というとき)
・支払った代金を戻す場合
(商品シール5枚で500円キャッシュバック)
・商品・サービスを購入した者に,同じ対価でそれと同一か実質的に同じ商品などを付加してサービス提供をする場合
(コーヒー3杯でコーヒー1杯無料券を進呈)
が値引きの例として挙げられています。
 3つ目のケースの注意点としては,「実質的に同じ」条件となっていますので,「コーヒーを3杯頼むとノンアルコールビール1杯無料券をサービスします」ですと商品が同じでないので,「値引き」とはいえなくなります。
 また,2つ目のケースにあたりそうな場合でも,以下の場合が「値引き」とされませんので,こちらも注意が必要です。
・当選するとお買い上げ金額30%キャッシュバック
→当選した場合に限っていますので,懸賞(くじその他偶然により定める方法などで景品類が提供される当選者などを決める方法)による場合とされます。
・指定の宿泊代金に充てる
→「指定した宿泊代金」に減額したり割り戻した金銭の使い道を制限しているときは「値引き」にあたらないとされています。
・同じ企画で景品類の提供と併せて行う場合
→お金か豪華宿泊旅行とのいずれかを選択させる場合にも「値引き」にあたらないことになります。

 また,内容からすると「景品類」にあたるものの,正常な商慣習に照らして適当と認められるものについても,規制が適用されないとされています。
・金額を提示して取引の対価の支払に充てられる金額証
 例えば,自分の取引で使う100円割引きを内容とする定額の割引券あるいは,10%割引を内容とする定率の割引券が挙げられます。ただし,特定の商品またはサービスとしか引き換えることのできないものは適用除外になる割引券にあたらないので注意する必要があります。ただ.この場合でも取引通念上妥当な基準によるのであれば,先に説明しました値引きにあたるのが普通でしょう。
・自分の提供する商品やサービスの取引・他社の供給する商品,サービスの取引で共通して用いられるもので,同額の割引を約束する証票
 例えば,自分,他社と共通で使える500円割引を内容とする定額の割引券
 この場合は,自分の提供する商品等の取引で使えることが大前提で,他社のみであれば景品類の規制を受けるので注意が必要です。

金券の場合にはどういった法的な規制がある?

 このほか,金券を発行する場合には資金決済に関する法律の適用を受ける場合があります。
・金額または物・サービスの数量(個数など)が商品券などに書かれている場合
・商品券などに記載されている金額または物やサービスの数量に応じる対価が,購入した人によって支払われていること,
・商品券などが購入した人に発行されていること、
・利用する人が物の購入やサービスの提供などを受ける場合に商品券などが提示,交付などの方法で使われること
という要件を満たす場合に,商品券などが自分の店舗だけで使えるものである場合,発行する商品券などの未使用残高が3月末または9月末で1000万円を超えていた場合には,最寄の財務局への届け出が必要になります。同時に、帳簿を作成したり保存する義務なども負うことになります。
 また,他の店舗でも使用できる商品券等である場合には,事前に財務局の登録を受けなければなりません。
 それ以外にも,同法律では商品券等に記載しなければならない事項や,3月末または9月末で未使用残高が1000万円を超える場合は未使用残高の2分の1以上のお金を法務局に供託しなければならないなどの規制がされています。違反すると業務改善命令,業務停止命令になることもありますので、これについても注意する必要があります。

 このように割引券や金券発行には複数の法律の規制がかかる可能性があり複雑ですが,規定を踏まえ経済活動を行う上でうまく利用して頂ければと思います。

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