法律のいろは

2020年5月6日 更新行政規制

建設廃棄物その他「廃棄物」と「不法投棄」の問題とは?

不法投棄の問題とは?

 建設工事では,土木工事や解体工事で様々な廃材などが出てきます。このうち,法令やこれを踏まえての行政からの通知等で「適正な処理」を求められている「廃棄物」(「建設廃棄物」)と呼ばれているものは,法令の規制に従って処分をせずに,置いておく・捨てておくと刑事罰などを受けるペナルテイが存在します。

 このルールに基づかず「廃棄物」(「建設廃棄物」)を置いておく・捨てておくなどすることを不法投棄と呼ばれます。先ほど触れました刑罰とは,関わった人については懲役刑等の処罰につながる・会社については罰金を受けるといったペナルテイ(刑事裁判や報道もあります)のことを指します。また,行政からのペナルテイも存在するなど問題点が大きくあります。廃棄物に関する許認可(収集運搬・処分)が取り消されるなどの点でもペナルテイが存在し,影響は大きくなります。

 

 不法投棄自体法令でどのようなものを指すのか決まっております。法令上は,「廃棄物」を「みだり」に「捨てて」はいけないと規定されています。このうち,「廃棄物」は後で触れますが,「みだりに」とは生活環境の保全や公衆衛生の向上の点から社会的に許容されない状況を指すとされています。これだけでは抽象的な話となり結局はケースごとの事情で考える話にはなりますが,「捨てる」態様との関連で考えていくことになります。ちなみに,ここでの「捨てる」とは,不要物としてその管理を放棄することであると考えられています。

 どこかしらの島や林(処分場としての許認可のないところ)に勝手に運めるなどする場合が当てはまるのは当然ですが,例えば,自社の所有地の中であっても,敷地内に穴を掘りそこに埋めることを前提に積んでおいておく行為も,穴を埋めるのは不要物だからでありそのために積んでおくことは衛生面の問題や汚染のリスクを通じての生活環境の悪化につながりかねない点もあり,「みだり」に「捨てる」ことになると考えられています。

 

 多くは刑事事件の裁判や行政からの指摘を受けて問題になることでが,汚染の防止装置をして少しの期間単に置いておくだけであれば該当する可能性が小さくなるなど状況に応じて考えておく必要があるでしょう。

 

 ちなみに,「廃棄物」の実際の処理は自社で行う場合もあるでしょうが,収集運搬や処理の業許可を受けた業者の方に委託する場合が多いかと思われます。そうした場合もあくまでも「廃棄物」の処分の責任は,それが「産業廃棄物」である限りは「廃棄物」をだした自社にあるという点への注意は必要です。建設業の場合には,一定の例外の場合以外には元請け業者が該当することになり,処理の状況などによっては「不法投棄」のリスクを負う範囲が広がる可能性もありえます。ここにいう一定の例外の一つとして,請負契約書で下請け業者に少量の廃棄物処理を負担してもらうという項目が設けられていた場合が挙げられます。

 委託をする場合には,委託契約書を用いての契約締結とともに,処理や運搬などの状況をマニフェストの交付を受けて適切に管理しておく必要があります。

 

廃棄物とは?

 「廃棄物」に何が該当するのかという問題はこれまで裁判例や行政からの通知等が出ている分野になります。廃棄物自体は,法令上,事業活動から生じたもので政令に指定されたものである「産業廃棄物」とそれ以外の一般廃棄物が存在します。事業から出た「廃棄物」でも一般廃棄物となることはありますが,事業者が処理の責任を負うことになる点で家庭から出た一般廃棄物とは異なる点があります。

 

 ここでいう廃棄物とは,不要物と汚物とされていますが,不要物が何であるか不明です。引き取ってもらうもので役に立つから不要物ではないとの反論などもあったことから,裁判例上①問題となっている物の利用用途に応じて必要となる品質を維持し,公衆衛生などの点で問題がない状況となっているかどうか②排出が用途に応じた計画的なものとなっているのか等の排出状況③引き取ってもらう場合に市場取引がなされる状況にあるのかどうか・自社で使う場合には使うだけの価値があるといえるかどうか④引き取ってもらう場合に実態からみてお金をもらって引き取ってもらっていると評価できるか⑤様々な事情から見て排出する側から見て,適切利用や有料で譲渡する意思があるといえるかどうか,等を総合考慮するとしています。言い換えると,お金を払って引き取ってもらうのが実態で,保管状況などから見て誰かに売るとは言いにくく,ようとするといっても市場が形成されていない場合には,「廃棄物」と考えやすくなります。

 行政からの通知が出ている建設廃棄物とは,こうした廃棄物のうち建設工事(解体を含む)から出てくる廃棄物を指します。現場事務所から出る一般廃棄物や廃プラスチック類・コンクリート破片などのがれき類・木くずや紙くず・水を含んだ泥状の掘削物等の産業廃棄物・アスベストなどの特別管理産業廃棄物(アスベストは特に解体工事の際に特別な規制が存在しています)等が代表例といえるでしょう。ちなみに,泥状の掘削物のうち,泥お状況ではなく生活環境上の問題が生じないものは廃棄物ではなく土砂として廃棄物処理の規制なく処理を行うことができます。

 

 

対応の注意点は?

 対応としては,不法投棄とならないように適切に委託を行うことと排出物を減らすなどの計画を立てておくこと・不法投棄が何であるのかをきちんと理解をして,処理や運搬状況が何であるのかを交付されるマニフェストを通じて確認をしておく必要があります。

 

 マニフェスト自体は虚偽記載にペナルテイがあることから,こうした記載やその他下請け事業者等に委託をする場合には処理等の状況の確認は必要です。法令上,不法投棄など処理基準等を満たさない不適正な処理については,処理などの依頼代金が安く・不適正処理を知りえたのではないか等の事情が存在する場合には,委託をした側(元請などの排出事業者)に適切に処理をするよう行政から命令を受ける(対応義務が生じる)ということがありえます。マニフェストとの関係でいえば,委託した処理業者が適切に処理できない旨の通知を受けた場合には,期限付きで処理対応をする必要があるなどの制度もあります。不法投棄を指示した等の事情がある場合には,先ほど触れた刑罰などのリスクもあるところですから,こうした事の無いよう適切な計画を立てる・処理状況や運搬状況などの確認(処理基準等の順守と許可の面での問題,可能であれば中間処理を行うなど)をきちんと行う・必要があるでしょう。

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