法律のいろは

2019年6月1日 更新行政規制

建築工事での請負代金額についての規制にはどのようなものがあるのでしょうか?

契約内容は自由が原則ですが,業法による規制が存在します

 契約においては,原則としてはどのような内容を定めても有効です。ただし,いわゆるBtoCの契約については消費者側にとってあまりに不利と思われる項目が無効になるなどの規制が存在します。これに対して,下請け契約を含めたBtoBの場面では原則として有効です。

 

 しかし,競争をゆがめる・不公正な取引になるなどの点を考慮して,業法などで規制を加えられています。一般の取引についてもありえますが,建設業では建設業法によって明確な規制が設けられています。内容は,一定の前提のあるもとでの「不当に低い工事代金額」での請負契約の締結が禁止されています。主に下請けでの契約を念頭においているものと思われます。また,契約締結をする場面だけでなく,その後の場面も規制の対象になっています。そのため,工事内容が追加変更があるなどした場面にも当てはまります。そのため,こうした場面で,工事代金額がそのままであり費用負担を全て下請け先がするなどした場合も問題になりえます。元請け先が代金減額を一方的にしてきた場合にも,そうするだけの正当な理由(例えば,引き渡しを受けた工事成果について下請け側の原因による不備が存在する場合等)がないケースでは問題にはなりえます。

 

 ここでいう「不当に低い代金額」というだけでは,どこまでを指すのかはっきりはしません。もちろん,材料代や労務費の変動や工事内容によって変わってきます。一般的に見てその種の工事をするのに必要となる直接工事費や間接工事費・一般管理費から見て,そこを下回れば該当する可能性が高まります。その工事をしている地域の同種の工事金額も考慮されるとされていますので,考慮要素は多数存在します。また,労災の防止経費の負担も考慮されることになります。発注者側からの指値での発注も,自社の予算枠を重視してたいした協議もせずに契約に至ったような場合によってはこうした代金額になる可能性もあります。

 

 ただし,こうした代金額であれば直ちに問題にるわけではなく,取引依存度の高い下請け業者に対して,大した協議を行うことなく先ほどの不当に低い代金額での契約締結をした場合等に違反となります。取引上の地位が優位であって,そのことを利用して不当に低い代金額で契約締結に至らせたことが必要となります。こうしたすべてを満たす事がない場合には,状況によっては請負契約での不誠実な対応という問題が出てくるかもしれませんが,当然に規制に違反するわけではありません。

違反に対してはどのような問題があるのでしょうか?

 違反については他の業法違反の場合と同じく行政からのペナルテイとなります。この場合のペナルテイとは,公正取引委員会という国の機関から,是正を命じられる形になります。公表もされますので,風評面での問題も出てきます。直接には,建設業法に違反する事柄(先ほどの「取引上の優位を・不当に利用して,不当に低い金額での契約をした」と評価されることがあって,それが独占禁止法という法律に定める不公正な取引方法の制限にあたる場合です。ただ,前者に該当する場合には後者に該当する可能性が十分にあります。これは建設業法で規制する事柄(基準に定められているもの)が代表的なパターンとして定められているためです。

 こうした事柄が問題になるのは,下請け先などがその事実を伝える場合もありますが,それに対する報復措置をとることもまた,同様に不公正な取引方法に該当する可能性が高いので,注意が必要です。

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