売掛金の回収について,前回は保証人との契約に関する問題点を触れました。いざ支払いがない場合には,保証人に支払いを求める・法律上認められている,合意で設定した他の担保から回収する・裁判を起こしたうえで担保以外の方法による差押等を行うという方法が考えられます。
法律上認められている,合意で設定した他の担保からの回収という方法もあります。このうち,まず合意で認められている担保から触れていきます。前回に触れた保証人というのもこうした担保の一つですが,他にも担保を設定すること自体は考えられます。
たとえば,相手に不動産があるのであればそこに抵当権を設定する(継続的な取引であれば根抵当権)も考えられます。ただし,この方法による場合には少なくとも不動産の価値に担保余力がある必要があるでしょう。既に他の抵当権などが設定されていて,あまり回収が見込めないのであれば,この方法は使いにくいです。
不動産登記簿に書かれた順位に従って配分されます。そのため,上位(先に登記されたものなど)の担保が優先して回収されるためです。とはいえ,既に回収されてしまい抵当権自体はなくなっているけれども登記は残されている場合もありえますので,実際はどうなのかは取引を始める際に注意が必要な点です。
同様のことは保証人についても言えることかと思われますが,担保を取る際に回収可能性があるのかどうかの見極めは極めて重要なことです。
ちなみに,担保の優先権には税金等に関して一部登記を先にしたかどうかとは異なる点もありえます。このほかに,家や土地といった不動産の売買ではない,動産と呼ばれるものの売買には法律で設定された担保権が存在しており,いざという場合にはこうした担保権の活用も大きな意味を持ってくる場合もあります。この話についてはいずれ触れたいと思います。
次回に続きます。