法律のいろは

2017年11月30日 更新損害賠償請求のご相談

介護施設における従業員の方がパワハラやセクハラを問題にして,損害賠償請求をしたケース(裁判例)

パワハラやスメントやセクシャルハラスメントの問題

 近年パワーハラスメントやセクハラ(セクシャルハラスメント)の問題は,女性の従業員の方が多い職場では問題になる可能性も大きいとともに,職場の雰囲気や人材の定着活用にも大きく関わる問題として認識されているように思われます。パワーハラスメントやセクシャルハラスメントがあったことを直接示す証拠がない場合も多く,加害者とされる方・被害者とされる方それぞれから話を聞いて対応を慎重に考えていく必要があります。

 対応の仕方によっては,加害者として処分された方からは処分がおかしいということで・被害者とされる方からは,十分に対応してくれなかったということで,問題をかける可能性もあり,注意が必要です。

 

 細かなパワハラスメントやセクシャルハラスメントの話は別途触れますが,今回は最近介護施設(公が運営する施設であった点に特徴がありますが,民間の運営するところでも問題の大筋は変わらないように思われます)でのパワハラスメント・セクシャルハラスメントが問題となったケースを紹介します。

介護施設でのパワハラスメント・セクシャルハラスメントに適切に施設側が対応したかどうかが問題になった最近のケース

 問題となったケースでは,高齢者に対して介護サービスを提供する介護老人保健施設に勤務していた女性の方が,その施設を運営するところに対して損害賠償請求をした話になります。その理由として,男性の従業員からのセクシャルハラスメント・パワーハラスメントに当たる行為があるのに,適切に対応をしてくれなかったことを根拠としたものです。

 

 セクシャルハラスメントに当たるのではないかという行為として

 ①臀部等の体に触れた行為  ②体重を聞いた行為

 が挙げられています。

パワーハラスメントに当たるのではないかという行為として

 退職を申し出た際に,心療内科への受診を強要する言動があったこと

 が挙げられています。

 施設運営側が適切な事柄をしなかったこととして,セクシャルハラスメントやパワーハラスメントの訴えがあったのに適切に対応策をとってくれなかったことが挙げられています。

 

 施設運営側は,先ほど挙げたセクシャルハラスメントに当たる行為(体に触れた行為の大半と身長を聞く行為)を否定し,受診を強要する言動を否定し,事実関係の点で大きな争いがありました。

 

 裁判所の判断は,争いのない部分・ノートなど記録にある事柄・証言内容等を踏まえて事実関係の認定を行っています。ここでノートは被害を受けたという側が記録したとするものですが,その信用性(信用できるのであれば書かれているセクハラなどに当たる行為の認定に大きくつながります)を日常的にあったことをその当時にそのまま記載しているのかどうか(裏を返すと,後で書き加える等その場にあったことをそのままきろくしたといいがたいかどうか)を判断しています。

 結論から言えば,そのノートの信用性を先ほど述べた点から信用できるとは言えないと判断しています。そのうえで他の証拠を踏まえて,多くの事柄についてセクシャルハラスメント・パワーハラスメントに当たるとされる行為の存在を否定しています。施設運営側の管理責任もこうしたこと等を踏まえ判断しており,女性側の請求は棄却されています。

 

 事実関係の問題は今回問題となりました証拠をどう考えていくかもあり,難しいところです。日常の管理を行う際にも先入観なく判断をしていきたいところですね。

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