法律のいろは

2019年6月29日 更新損害賠償請求のご相談

施工業者はどこまで工事内容の説明義務を負うのでしょうか?

施工業者が業務として負担する部分は?

 建築工事をお客様が依頼される際には,設計を行う業者と建築工事を行う業者が別々の場合(一体として行う場合)と設計を踏まえて施工業者の方とお客様との間で建築工事契約(請負契約)を締結する場合に大きく分けることができます。

 

 このうち,後者のものについては,設計が完了した仕様に従って施工業者は建築をしていくという契約になります。そのため,設計に従って建築をしている限りでは,施工業者には何かしらの契約違反がないというのが原則になります。設計を行うに際しては専門性もあることから,少なくとも一定規模以上の建物については設計の専門知識を有する建築士が設計を行う必要がありますし,施工業者が設計について建築士と同じように専門知識を有しているは限りません。

 こうした事から,施工業者がその専門的な能力で気づくはずの設計上の不備や問題などをに分かっていたはずといえる場合(そういえるだけの問題項目であったことや実績その他から施工業者側がその部分を気付くのは難しくないという必要があります。これらは事実関係の問題にもあります)には,施工業者側には説明義務が出てきます。ここをお客様に説明していなかったということであれば,損害賠償責任を負うという話が出てきます。この話は抽象的な点があるうえに,抽象的な話レベルではどこまでの説明責任を負うのかは考え方の対立があります。実際にどうなるのかは先ほど述べた事実関係がどうかによって変わってくるものと思われます。

 

 これに対して,施工業者側で設計などの問題点について認識していた場合には,専門業者であることから,お客様側に問題点をきちんと説明する義務はあります。この場合,こうした問題点を施工業者側で認識していたことを示すだけの事情が必要になってきます。説明義務が問題になるのは問題が発生した場合に,損害賠償請求などが問題になる場面で、主には事後の話になります。そのため,こうした認識をしていたかどうかは後でそうした痕跡があったかを書類その他やり取りなどから確認をしていくことになるものと思われます。実際には事前にきちんと問題点を把握して説明するべきかどうかを検収あるいはマニュアルで社内で共有しておく必要があるでしょう。

設計と施工が一体であった場合にはどうなるのでしょうか?

 施工一体型である場合には,一定程度以上の建物であれば建築士による設計が必要になるでしょうから,外注するか・自社内の建築士のいる設計事務所に依頼する形になるものと思われます。こうしたケースで設計と施工の契約を別々に分けていないケースもあるように思われますが,その場合に両者の意味を持った契約であるととらえる考え方もあります。

 

 いずれにしても,設計を含めて依頼を受け外注に出すか社内で対応しているという形ですので,お客様に対しては設計の部分を含めて説明義務を負う形になるものと考えられています。ここでは建築士の方が設計などで問題となる事項について同様に当てはまるものといえるでしょう。実際に問題となるのは,事後の設計ミスや要望を取り入れていたかどうか・法令面を含めた問題点が明らかになった場合での損害賠償請求の場面が想定されます。確認やチェック・情報共有を図るなどしての対応も事前の対策としては考えられるところでしょう。

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