法律のいろは

2017年1月5日 更新労働問題のご相談

別の職場で働く方を採用した場合に,残業代の規制の関係で注意をする点

 日本では,副業の禁止を定めていた会社も多くあったために,別の会社で働いている方がダブルワークとして別の職場でも働くということはそこっまで多くなかったと思われます。実際,採用をする場合でも既に別の職場で働いているかを確認し,並行して仕事をすることを前提としていることは少ないものと思われます。

 それでは,仮に別の会社でも仕事をしているけれども,色々な事情からこちらの会社でも雇用してほしいと言ってきた方を採用する場合で注意をする点はあるのでしょうか?

 

 結論から言えば,残業代の計算をするうえで問題となる「労働時間」を考えるうえで出てきます。法律上,「事業場を異にする場合でも」労働時間は通算されるという規定がある点に関係します。ここでいう事業場とは,別の仕事場という程度の意味ですから,同じ会社の別の営業所などでの仕事は含まれます。たとえば,パート勤務で同じ会社の別の場所でそれぞれ勤務をする場合には,通産をされます。ここでいう通算とは,プラスをする意味です。先ほどの例では,ある店で5時間パート勤務し,別の店で4時間勤務する場合は,労働時間を9時間としてプラスして計算し,残業代の支払いの問題が出てくることになるということになります。

 問題は,別の雇用主(会社)で勤務している場合を含むのかという点です。

 

 法律の言葉からすると,両方とも解釈としてはあり得るところではありますが,労働基準監督署など行政側では,別の会社で勤務をしている場合も含むと判断しています。つなり,A社とB社で勤務をしている場合には,労働時間はプラスされることになります。それでは,後の時間で勤務をした会社が常に残業代の支払いの問題にさらされるかというとそうではありません。

 後で採用をした会社は,2つの会社で勤務をその方がすることになり,残業代の支払いの問題が出てくるかもしれないことを想定できたはずなのであるからということで,こちらの会社が負担のリスクを負うことになります。

 今の話にもあるとおり,あくまでも,2つの会社で勤務をしていることを知っていたことが前提となりますから,こうしたことを知らない場合には,労働時間をプラスするということはなくなります。

 

 ちなみに,こうした考え方には,異なる会社での場合を定めたものではないとする考え方(この考え方によれば,プラスにはならないことになります)もありますが,行政機関では採用していません。

 

 この問題については現在裁判例はないようですが,現在の行政機関の対応からするとリスクがある点は知っておいた方がいいでしょう。

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