法律のいろは

2020年4月24日 更新兼業・副業

従業員の副業や兼業希望への対応と注意点は?

副業や兼業の規制はできる?

 現在も多くの会社では,自社での仕事に専念してもらう・競合する仕事をしてもらっては困るなどの考えのもとで,就業規則で副業など禁止しているところがあるようです。働き方改革の推進の中で,国から副業や兼業に関するガイドラインを定めるとともに,2020年1月現在勤務時間の通算に関する規定の改正など今後の方向性が注目されています。

 厚生労働省にある「モデル就業規則」でもこうした副業に関する就業規則の取り決め方の一例を示しています。考え方として,自社での仕事の専念や競合する業務を行うことを制限されるのは自社で勤務している以上,副業を制限する根拠となります。とはいえ,一律禁止にはそこまでの理由がなく,むしろ従業員の,仕事を自由に選ぶ権利を不当に制限することから,全く認めないということも難しくなります。

 

 そこで,先ほどの「モデル就業規則」では,就業時間外の勤務をすることについて,事前の届出と許可の制度を採用し,自社の業務での支障や競業その他制限する正当な理由がある場合に,会社が副業に制限をかけることができる仕組みを示しています。また,後で触れますが,2020年1月現在の法律では勤務時間の通算による問題があることから,自社で勤務時間の状況がどうなっているのかを把握できるように報告する仕組みを提示しています。

 

 結論から言うと,認めつつ規制をする方向になるでしょう。ちなみに,許可制を採用しても実際に副業をするかどうかはその従業員の意志によります。あくまでも,無許可の副業について会社の秩序を乱す行為として対応をできるかどうかが,問題になってきます。

副業を許すときの注意点は

 先ほど「モデル就業規則」の話でも触れましたが,副業に励むあまり自社での業務を行うのに支障が出ても意味はありませんし,自社の情報を持ち出される・競合行為を許していては,自社の業務に支障が出ます。そのため,こうした行為が出るかどうかは,届出の際に業務内容や業務先を報告してもらい把握できるようにする・その後も問題があるとの情報があれば報告を求められるように,就業規則等できちんと決めておく必要があります。

 こうした点い従業員が応じないことも会社の秩序を乱すこととして,場合によって懲戒処分の根拠になりうることを定めるとともに,周知を図っていく必要があります。

 

 次に面倒な点として,副業で業務を続けることでその従業員の心身の負担が高まり,健康リスクや労災につながりかねない事故が起きる可能性がある点です。関連して,2020年1月時点の法令では,副業や兼業(いずれも人に雇われる場合)には勤務時間の通算が行われ,いわゆる残業になるかどうかを考えることになります。こちらは,言い換えると,自社の勤務では残業はないはず(1日8時間勤務)ではあるけれども,副業や兼業をすることで,例えば,1日12時間勤務となると,4時間分の残業が生じるということになります。ここで残業代の支払いをするのは後で採用した事業者になります。となると,副業を許す側では問題がないかというとそうではなく,健康リスク面の問題が出てきます。会社・事業主には勤務時間を正確に把握する義務がありますし,それはこうした健康上の問題が出たときにも及びます。

 そのため,把握をして対応(健康診断や休みあるいは副業を止めてもらう等)をしておく必要があります。こちらは,副業を個人事業主として行う場合にも影響してきます。新たに採用をする場合には,他の事業主で勤務しているのか等の把握も重要になってきます。その意味で,採用をするときの確認事項という点で影響していきますし,その後の仕事をしてもらう局面でのチェック対応にも影響してきます。

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