法律のいろは

2019年3月13日 更新労働問題のご相談

従業員から「セクハラ」「パワハラ」にあったとの訴えがあった場合の対応は?

事実関係の把握が重要

 最近セクハラ・パワハラ等の「ハラスメント」の相談はいわゆる労働相談の中で一番多いものと言われています。最近は,パワハラやセクハラ防止のために,トップが対応の枠組みを示すべきとされています。防止のためにはセクハラやパワハラを防ぐために,相談窓口や処分などの有無などの点は重要です。そうはいっても,実際に問題が起きた際には,まずは事実関係が何であったのかの把握が重要になるでしょう。きちんと事実を把握しておかないと,バイアスのかかった対応になる可能性もありますし,二次被害の問題も出てくるかもしれません。女性従業が相当程度いる業種では全て問題になる話であると思われます。

 

 まず,事実関係としては

・いつ・どこで・誰と誰の間に・どのようなことがあったのか,がはっきりする必要があります。セクハラ行為ということであれば,こうした事がらの中で,

どのような経緯の中での出来事か・出来事の内容(セクハラ行為とされる内容の中身)・いつ起きた話なのか(勤務時間内であったのかどうかも含みます),といった点がとりあえずの確認としては重要とは思われます。

 単に被害申告があったから被害がきっとあったはずだとして事実を聞こうとすると,バイアスが出てきかねませんし,実際にセクハラがなさそうだという話になった場合には今度は「パワハラ」が存在したという反発を招くことになりかねません。セクハラというと,被害を訴える方が被害捉えたらセクハラだという主観的なものであると考える方もおられるようですが,決してそうではなく事実関係があって,それが一般的に性的な羞恥心を害するもの・職場環境を悪化させるものであるかどうかが重要なものとなります。

 

 加害があったとされる方と被害を訴える方との間で,事実関係に関する話が食い違う場合もありますから,慎重に聞き取りをする・裏付けなどがあるのかの確認をするなどが重要になってきます。その際には,言い分がおおよそ一致する事柄が何か・その部分が重要なものであるのか等,単に聞き取りの仕方だけでなく,聞き取った内容をきちんと整理しておく必要があります。

 

 あくまでもどのように対応をするのかを決めるのは,こうした事実関係の把握をしたうえで仮にセクハラ行為がある場合に,被害の程度や被害のあった方への加害者の対応等の事実も把握をして行うことになるでしょう。

聞き取りや対応を決めるうえでの注意点は?

 聞き取りをする際の注意点は,被害がないはず・あるはずという先入観を持たずに行う必要があるという点です。こうした先入観があると聞き取りの態度にも出て,そこが十分に対応をしてくれなかった・パワハラをされたということで新たな問題につながる可能性もありえます。また,特に被害を受けたという方への聞き取りの際には,粋なる具体的なことを据えて聞き出そうとすることが二次被害につながるという点への注意も必要です。事実関係の有無を考えるうえで,話が抽象的・断片的というのは話の信用性がないのではないかというところにつながりかねない要素ではあります。とはいえ,今述べた要素もありますから,その方の様子なども踏まえたうえで注意をしておく必要があります。

 

 次に対応を決めるうえでの注意点は,セクハラ行為の有無の点で事実を整理した後で,被害の悪質性や注意で収まるものといえるか・加害者側が謝罪や弁償をしたのか・これまでも同種の話で注意などを受けた方か等を把握して決める必要があります。まったく対応しないことは会社にとって賠償請求につながりかねない話ではありますし,重すぎる処分も同様の請求につながりかねません。そのため,先ほど述べた点を把握したうえで,弁解の機会を設け,これまでの他の方への対応と大きな乖離がないかどうかも検討する必要があります。もちろん,自社の指針との整合性も重要なポイントとなります。

 「一罰百戒」という言葉もありますが,何かあればすぐに辞めてもらえばいいというわけでもありませんので,きちんと対応をする必要があるでしょう。

お電話でのお問い合わせ

082-569-7525

082-569-7525(クリックで発信)

電話受付 9:00〜18:00 日曜祝日休

  • オンライン・電話相談可能
  • 夜間・休日相談対応可能
  • 出張相談可能

メールでのお問い合わせ

勁草法律事務所 弁護士

早くから弁護士のサポートを得ることで解決できることがたくさんあります。
後悔しないためにも、1人で悩まず、お気軽にご相談下さい。

初回の打ち合わせは、有料です。
責任をもって、担当者が真剣にお話をきかせていただきます。
初回打ち合わせの目安:30分 5,500円(税込)