法律のいろは

2019年8月17日 更新契約問題のご相談

ホームページ・アプリ等での著作権等で注意をしておくべき点は?

 ホームページなどの作成依頼のときに出来上がったホームページなどの著作権について取り決めをしておらず(こういった場合には著作権も含めて一切契約がない場合がよくあります),引き渡しの段階や引き渡しが終わって以後,再度改修などが必要になったときトラブルが発生することがしばしば見受けられます。
  こういったトラブルを防ぐにはどのようにすればよいのでしょうか?

ホームページ作成業者にホームページ作成を依頼した場合の契約内容は?

 クライアントがホームページの作成を依頼する場合、ホームページの完成によってその対価が発生するのが通常ですから、請負契約によることになります。
 作成されたホームページ自体は完成により所有権が依頼をされたクライアントに移転しますが、通常は一旦作成されたホームページに書き込みが出来るような仕様になっていることが多いでしょう。
 請負契約だけであれば、著作権についての定めがないため,ホームページの引き渡しをクライアントにしたからといって,当然に著作権もクライアントに移転するとはいえないといえます。

作成されたホームページは著作物にあたる?

 まず、ホームページ業者が作成をしたホームページですが、発注をしたクライアントの顧客に対する想いや経営理念などが書かれたものですので、思想または感情を創作的に表現をしたものといえ、著作権法にいう、著作物にあたります。
 ただ、「創作的」といっても独創的であることまでは必要とされていませんので、著作者の個性が表れていればよいため、上記のようなホームページサイトでも著作物にあたるといえます。
 著作物にあたるとなると、著作財産権・著作人格権(後述します)が発生することから、そういった権利が誰に属することになるかが問題になってきます。
  なお,ホームページは,一度作成したあとに加筆・修正するにあたって,作成者が記述したプログラムである「ソースコード」が必ず必要になります。このソースコードも,「電子計算機を機能させて一の結果を得ることができるよう,これに対する指令を組み合わせたものとして表現したもの」といえます。決まったプログラム言語や決まりごとなどに拘束されてはいますが,コンピュータに対する指令の表現やどういった順序で行うかなど,著作権法で保護されるべき個人の思想等が含まれているといえ,著作権が及ぶと考えられています。

作成されたホームページの著作権は誰のもの?

 ホームページが著作物にあたるとすると、いつ著作権は発生し、だれが有することになるのでしょうか?
 著作権は特許権などと異なり、登録なく発生するとされていますので、ホームページが完成したときに特に何もすることなくして発生します。そして、著作権は、著作物を作った人に属することになります。ですから、ホームページの著作権は本来ホームページ作成をした業者が持つようになります。これはクライアントが素材などを提供した場合でも同じです。
 ですから、ホームページ作成業者がホームページの著作者となり、著作権、詳しくは著作財産権と著作者人格権(後で触れます)を持つことになるのです。
 なお,写真素材については,無料素材であっても商業使用できないといった制限が付けられていることもあり,その場合に使用すると著作権法の問題が出てくる可能性がありますから,注意が必要です。

ホームページ業者が著作権を持ち続けるメリットは?

 発注したクライアント側はせっかくお金をかけてホームページを作成しても、著作権がホームページを作成した業者のままとするとあとでクライアントが自由に加筆したり修正することが出来なくなりかねません。ただ,前述のようにホームページの完成により,作成業者は完成に伴う報酬を受け取るでしょうから、それで仕事の目的が達成するといえ,それ以上にホームページの著作権を持っていることのメリットは通常はあまりないといえるでしょう。
 そのため、クライアントとしては,通常は依頼したクライアントが完成したホームページを受け取り代金を支払うと当然、ホームページの著作財産権が移転する旨の契約とするのが一般的といえます。このときは,作成を依頼した側がホームページの改変ができないと不便でしょうから,先の「ソースコード」と併せて移転するとの契約としておくことになるでしょう。

 

 ここで著作財産権とは、著作権の財産的な部分をいいますが、具体的には翻訳などしたりする権利(著作権法27条・28条規定の権利)については、契約でこれらの権利も一緒に移転すると別途決めておかないと元の権利者のところに残ってしまうので注意が必要です。
 また、著作者人格権とは、著作権の人格的な部分に関するもので、具体的には
・公表権(まだ公表されていない著作物また著作者の同意を得ずに公表された著作物を対象)
・氏名表示権(著作物を利用する者が特に意思表示なければ著作物について著作者が表示しているところに従って著作者名を表示)
・同一性保持権(著作物の性質ないし利用の目的・態様に照らしやむを得ない改変は著作者の同意なくても可能)

があるとされています。これらの権利は人格的なものになるので、その著作者自身に属するものであって、譲渡できないとされています。ただ、そうなるとホームページ作成業者側から氏名表示権や同一性保持権を主張してサイトの加筆修正ができなくなる可能性が出て来ますので,実務上は著作権をめぐってトラブルにならないよう、作成業者が著作者人格権を行使しないといった条項をあらかじめ入れておくことが一般的に見られます。

 もっとも,ホームページを作成する際に,開発費用が高額である等の理由でリース契約と同様の形態を取っている場合には,完成後のサイトの加筆・修正も含めて開発業者が行うことの方が,開発業者にとってのメリットは大きいといえます。したがって,こういった場合にはホームページが完成したあとも,開発業者側が引き続き著作権を保有したままにするという合意もありえます。
 この場合には、リース料やリース期間を決めていないと,その後の支払を巡ってトラブルになる可能性がありますから,リース料・リース期間はしっかり決めておく必要があるでしょう。またリースの支払が終わったあとの著作権の帰属も決めておかないとやはりトラブルのもとになるでしょう。

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