法律のいろは

2020年9月12日 更新契約問題のご相談

キャンセルポリシーを定めるうえでの問題点とは?

キャンセル料とは?

 お客様からの予約を受けて,施術やサービスの提供をするご商売は,飲食業や宿泊業・美容やエステなどいわゆる個人向けの業種に多いと思われます。予約を受ければ,時間や場所の確保の他,飲食業など材料確保が必要な場合にはその確保(料理の仕込み等を行う)もしますから,キャンセルを受けると損害が生じることもありえます。特に予約をした日にちに近い場合には,他の予約の確保が難しくなってきます。

 

 そうした損害を埋めるために損害金の予定として,キャンセル料を定めることが多いですが,いつまでのキャンセルであればいくらにするのか等の考え方をキャンセルポリシーで定めることになります。

 定めておくことのメリットは,損害として負うだろう金額をはっきり定めておくことで,実際のキャンセルがあったケースで実際の損害額を確定することなく,キャンセル料を請求することができます。これは,賠償額の予定といわれるもので,予定をしておけば実際の損害を証明(この問題は大きいです)しなくても法律上よくなるからです。キャンセルポリシーを前提に予約や契約をすることになりますから,きちんと内容を定めておくことと周知をしておくことは重要になります。

約款などでキャンセルポリシーを定めるうえでの問題点は?

 トラブルになる点は,キャンセル料の回収もありますが,キャンセルポリシーで定めたキャンセル料が法律上無効になるかどうかという点です。仮に法律上無効になるということであれば,せっかく定めた意味はなくなる部分が出てきます。ここで無効となるのは,後で触れます「平均的損害」を上回るキャンセル料の部分だけですから全てが無効というわけではありませんが,高額キャンセル料を定める業者という話が広まるリスク・せっかく定めた部分が一部とはいえ無効になる点は無視できません。

 

 では,どのような場合に無効となるのでしょうか?法律では抽象的にしか定められていません。それは,「平均的な損害」を上回る損害賠償の予定を定めている場合に,その「平均的な損害」を上回るキャンセル料を定めたキャンセルポリシーの部分を無効にするというものです。ここが問題になるのは,実際にキャンセルが発生しキャンセル料の請求を行う場合に,そのキャンセル料が正当なのかどうかという場面で問題となるもの・キャンセルポリシーの定めている内容自体が無効ではないかということを適格消費者団体という団体から変更を求められる場合がありえます。

 いずれの場合であっても,結局のところはキャンセルポリシーの変更を余儀なくされる結果につながるのが普通ですから,キャンセルポリシーを定めるにあたっては,「平均的な損害」とは何かということを意識しておく必要があります。ここでの問題点は「平均的な損害」とは抽象的には言いやすいが,実際にはどこがそうなのかを確認していく作業は簡単ではないという話です。ここでいう平均とは,同様の契約で事業者側(店舗やサロンなど)がキャンセル(その他解除の理由ごと)された際に負う損害額の平均値と言われていますが,実際に統計データがない場合にははっきりしない面があります。業界水準とは異なるとされていますが,業界一般でこの程度の損害が負うようであると業界団体などで相当の調査や根拠に基づき定められた数字があれば,一応の手がかりということはできるでしょう。

 

 キャンセル料には,キャンセルを防止するための効果も事実上存在するところですが,そのために,損害とは関係なく高めのキャンセル料を設定できるというわけではないこと・先ほどの平均損害がなんであるのか,検討が必要であるなどトラブル防止のための注意が必要となります。

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