法律のいろは

2019年11月26日 更新契約問題のご相談

貸している物件の増額を請求する場合には?

家賃の増額の請求を行うにはどうすればいいでしょうか?

 当初の契約内容の決め方や周りの家賃情勢・物件の老朽化などの事情から,家賃の変更が問題になるケースはありえます。物件の老朽化の場合には家賃の減額の請求を借主から受けることになりますが,不動産の高騰化その他の事情がある場合には増額請求を大家側から求めることはありえます。

 契約内容の変更(空き室があるために家賃を下げる話とは異なります。こちらは新しい契約と家賃になります)になりますので,まずは大家と借主側で話をすることになります。その際に納得をお互いにできるのであれば,そこで決まります。決まらない場合には,裁判所を使った手続きが準備されています。ただ,裁判所の手続きであっても契約の内容変更はお互いの話し合いが望ましいと考えられていますので,調停という話し合いの手続きを経ることになります。そこでは,専門家の方も含めた間を取り持つための調停委員という方の立ち合いのもと合意に至れるのかどうかな試合をして進めることになります。

 

 仮に話し合いでの解決が難しい場合には,先ほどの調停委員が裁定といって解決の案を出すことがあります。この案に従う旨の合意が大家と借主でなされている場合には,この裁定によって話が解決します。この裁定には,大家側と借主側の言い分とその根拠を踏まえたうえでの判断がされることになります。ちなみに,話し合いがなされてもその内容が不当な場合にも裁定がなされることはあります。

 

 こうした話し合での解決が難しく,裁定に従うとの合意が取れない場合には裁判での解決に向かうことになります。

 

 

家賃の変更を裁判所の手続き行う際に考慮される要素とは?

 家賃については,新規に家賃設定をしたものか・既に存在する家賃(借りている物件)かが存在します。増額や減額が問題になるのは後者です。新規の家賃設定の際には,市場相場を中心に考えていきますが,変更の場合にはこうした要素以外に契約内容やこれまでの事情などを考慮する必要が出てきます。

 法律上は,家賃の変更が必要場場合=今の家賃額が不相当となる場合として,①その物件の税金の変化②その物件の価格や経済情勢の変動③その物件の近くにある物件の家賃金額,が挙げられています。裁判例では,こうした①から③以外にも,当初家賃金額を決めた際の前提となっていた事情や契約内容などの個別の事情や契約に至った経緯,その他様々な事情を考慮するものと考えられています。サブリースかそうでないか・設けられている特約(契約内容)や利用目的の制約の有無や内容・契約の種類など,個別のケースによって様々異なってきます。

 一度家賃を決めてからそこまで時間が経過していないのであれば,通常はそこまで家賃額が不相当になっていることはそこまで考えにくいですし,家賃を変更しないという合意がなされている場合にも一度その家賃額を受け入れていますので,不相当という場合はそこまで多くはないと考えられます。ただ,変更しないという合意は家賃の増額減額請求の権利の性質により合意として絶対に変更できないということではありません。そのため,周りの物件の家賃額の変動や経済情勢の変動が大きい場合には,こうした事情があっても変更が必要になってくると考えられる場合は出てくるでしょう。

 

 家賃額としていくらが相当なのかは,こうした事情も踏まえて決めていくことになりますが,家賃額としていくらが相当かとい7う不動産鑑定士の方の鑑定を取得する場合もあります。こうした鑑定自体には費用が相当掛かりますし,裁判所の手続きの前に見通しをつけておくということもありうるでしょう。そうした場合の評価方法については大まか4つ存在します。難しい話になりますのでここでは触れませんが,こうした評価方法を用いながら,その金額が適正かという意見を出していくことになります。

 

 いずれにしても,家賃の増額や減額という話はこうした複雑な話を念頭に最終的には決まっていく(変更が認められる場合もあれば,そうではない場合も出てきます)ことになります。

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