法律のいろは

2019年3月6日 更新契約問題のご相談

賃貸期間を更新する場合の更新料,支払いを拒まれないようにするには?

更新料の決まりは契約書の中に入れておけば問題はない?

 特にアパートの賃貸借契約で出てくる契約期間が満了した後に契約更新をする場合に支払いを借主に要求する「更新料」については長くその性格と契約での有効性が争われてきました。ご存知の方も多いかとは思われますが,最高裁判所の判決で,一定の前提のもとでは更新料の規定は有効であると判断をされています。注意が必要なのは,全ての場合でこの条項が有効出るとは判断をしていないことです。

 

 少し詳しく触れておきます。

 更新料の性質は,家賃の前払い・契約更新の費用など様々な性質を含むもので実際の契約ごとの事実関係によって決まるものであるとの判断を示しています。そのうえで,経済的合理性も認められる事柄であって,契約書の中で「一義的に」「明確に」記載された更新料に関する事柄は原則として有効であると判断をしています。例外は,契約期間に比べて高額すぎる場合などがあげられています。

 

 ここでは,契約書の中で,更新料に関する事柄がどのような場合に発生するもので・いくらであるのか等がはっきりと記載されていて,どのような場合に発生するのか・いくらになるのかについて解釈が分かれるようなことがなければ原則として有効であるという話になります。ただし,例外として,いくら明確に記載されていても借主にとってあまりに負担が大きい場合や機関に比べて高額すぎる場合(実際には個別の話で例外に当たるかが問題になるでしょう)には無効になるという話になります。

 

 

 以上は,およそ更新料の項目が有効かどうかという問題ですが,「法廷更新」の場合にも更新料が生じるのかどうかが問題になることがあります。更新については,契約書の中で予めオーナー・借主に異議がない場合にはそれまでと同様の期間で契約を更新させるという「自動更新」の場合と,更新についての定めを置かなくても法律に基づいて更新をされるという「法定更新」の場合が大きく分けられます

 通常予めの合意による自動更新について念頭に契約書の中で更新条項を設けられるかと思われます。そのため,「「法定更新」の場合にはどうなるのかということは羽切指定にがために,「法定更新」の場合に更新料の請求ができる場合にあたるのかが問題となってきます。ちなみに,法定更新とは,賃貸期間満了時に更新を原則とし,更新をオーナーが拒むためには一定期間内における更新拒否の通知+更新拒否の正当事由を要求する制度です。正当事由の考慮要素は法律で大枠定められており,ケースごとの考慮が必要となります。

 

 裁判例も法定更新の場合に更新料の請求ができるのか(契約書に更新料の定めが有効性を満たす形でなされているのが前提です。また,法定更新の場合にどうなるかはっきりしない場合)については判断が割れています。自動更新を念頭においたものだから及ばないとも考えられますし,更新の対価や家賃の前払いという意味では同じと考えれば法定更新も及ぶとも考えられます。ここで重要なのは,書面上曖昧な場合にはこうした微妙な話が出かねないという点です。

 

注意をする事柄とは?

 契約項目における記載がどのようになっているのか日手は注意が必要です。例えば,「更新料の金額は貸主と借主が協議をして決める」という内容では,金額が明確とは言えませんから,更新料が有効とは言えない(言い換えると無効になり,請求できなくなる)可能性があります。

 

 同様に法定更新の場合をどうするのかも同じような問題があります。先ほど触れましたように,法定更新の場合に更新料の定めがどうなるかはっきりしていないと更新料の請求ができなくなる可能性もあります。ただ,法定更新がなされる場合には,更新後は賃貸期間の定めがない扱いとなり,オーナー側から終了を申し出る場合(借主に信頼関係を破壊するような事情があり,契約を解除する場合は別)でないとオーナー側から契約を終了させることはできません。これ自体はいつでもできますが,ここでも正当事由が世給されるなど借主を保護する規制がある点には注意が必要でしょう。法定更新制度が適用されない形のアパート賃貸の形態には「定期借家」等期限付きのタイプのものが法律上定められていますので,ここが気になるのであればメリットデメリットを検討して,どうしていくのかを決めていくことになるでしょう。

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