
私たちは、日々生活をする上で色々なルール・約束事に囲まれて生活をしているといえるでしょう。その中でも、単なる約束と、契約とはどんなところで違うのでしょうか?今日はそんなことから考えてみたいと思います。
「明日の昼1時に○○駅で待ち合わせよう。」と友達と約束するとします。当日、行ってみると、友達が来ていなかった。何分待っても来ないので帰ってしまった。普通なら、友達に連絡をして、なんで来なかったか問い詰めたり、理由を聞いたりするでしょう。ただ、友達がその時間に来なかったということで、何かそれ以上にできるかといえばそうではありません。来なかったことに文句をいう以外では、せいぜい、そういう友達とは距離を置いて付き合う、といった事実上の対応をとるしかないでしょう。
こういったものは、極端な例ではありますが、単なる約束にすぎません。
それでは約束と契約とはどのように違うのでしょうか。
ものの本では一般的には契約とは、当事者の意思に法的な拘束力を持たせるというものです。先の例でいうと、約束をしたことを守らなかったからといって、それ以上に何かすることが出来ませんでした。これとは異なり、もし約束違反があれば、法的な効果をもっていうことができるというのが契約です。
典型的なケースでいえば、ある人からお金を借りるとします。これは消費貸借契約ということになります。この場合、返済日が定められているのが一般だと思います。もしお金を借りた人が返済日をすぎても返してくれないとき、お金を貸した人はどんなことができるでしょうか。支払期日が過ぎているから、お金を返せと請求し、それでも返してくれないときは裁判にすることもできます。その場合は裁判所という公的な機関を使った判断を求めることになります。もし、お金の返還を求める権利があると認められ、にもかかわらず借主が返してくれないときは、借主の財産(給与債権など)を差し押さえることもできます。
このように、契約の場合は、単なる約束だから、破られても文句をいうくらいしかできない、というにとどまらず、正当な権利と認められれば、裁判所という公的な機関を使って権利実現を図ることができる、強力な効果を持ったものなのです。
ですから、逆にいうと、契約は何でもかんでも認められるのではなく、そういった国家機関による保護に値するもの・国家が介入しても個人にとって過剰な権利・自由への制約にならないものである必要が出てきます。
次回に続きます。