法律のいろは

2019年1月7日 更新契約問題のご相談

物件購入時の注意。購入した土地の面積が実際に異なるけれども,問題はあるのでしょうか?

実際の面積が,契約書に書かれているのと異なる場合はあり得るの?

 物件(特に土地付きのもの)を購入する場合に,契約書に書かれているものと実際の面積が異なる場合(特に不足している場合)には,代金を減額しないとおかしい等のお気持ちが出てくるかもしれません。ただ,注意をしていただきたいのは,契約書及び重要事項説明書に記載されている購入する物件内容によっては,そもそも面積が異なることが織り込み済みの場合があります。

 

 それは公簿売買(公図売買)と呼ばれる場合で,割とよく見かけるものです。これは,不動産登記簿上で特定された物件(不動産・土地)を購入する場合を指します。登記簿に書かれた面積は正しいのではないかという考えもよぎるところですが,実際には正確な測量がなされておらず面積が正しくない場合もありえます。面積が測量誤差程度で正確な場合もありえますが,これは公図と呼ばれる位置関係などを記載した法務局で取り寄せる書面で「14条地図」と記載されているものになります。不正確な測量などしかなされていないのであれば,当然面積は実際と異なりますし,きちんと隣接地との間で境界確認をしていない場合にも測量をきちんとしていないことはありえますから,注意が必要です。

 これは,特に古い時期に測量されたものについては,測量技術が不正確であったことやそもそも税金をかけるために測量が昔はなされており,実際の面積よりも大きいあるいは小さいという場合が生じたためと考えられています。また,公図混乱地域ということもあり,周りの土地との位置関係や土地の形状が実際のものと齟齬が生じている地域も存在はします。

 もっとも,公図を見なくても,登記簿(公図にしても登記簿にしても登録をしていればオンラインで見ることもできますし,法務局で申請をしてみることもできます)の中に,分筆・地図作成・土地区画整理事業が終了している等の記載がある場合には,実際に測量が細かくされなおされていますから,登記簿の面積と実際の面積が違うということはなくなっていると考えられます。いずれにしても,公簿売買の場合には,実際の面積と登記簿上の面積の相違があるものなのかのチェックは重要な意味を持ちます。これは,ここで触れる面積の問題とは異なる先ほど触れた位置関係や形状の点でも注意が必要になります。

 

 

 少し話がそれましたが,公簿売買の場合,契約書などには,実際の面積と対象として特定された不動産の面積が異なることの記載がある場合もありますし,そもそも登記簿の内容で特定されている場合には,公簿売買であることが通常で,実際にそうかどうかの確認は必要です。公簿売買の逆は実測売買で,実際に得られた面積を基に代金を決める形となっています。公簿売買の重要点は面積の齟齬があっても代金の増減を行わないという内容になりますから,不足があっても代金の一部返還を求められないことになります。

 このほか別のところで触れますが,隣接地との境界がどのようになっているのかは,将来の紛争を防ぐために重要なポイントとなってきます。

購入した物件(土地)の面積が,契約書に書かれているものと異なる場合の対応法は?事後の対応で十分なのでしょうか?

 先ほども触れましたように,公簿売買であった場合には,契約書の中に代金の増減調整を行わないとの記載がなされているのが通常です。契約でこのように決めた以上は代金の増減調整はできません。つまり,面積が少なかったからと言って調整はできません。

 

 とはいえ,面積の齟齬が大きい場合に全くその契約に拘束されるのはおかしいという場合はあり得ます。この場合,実際に面積が異なったのであれば契約をしなかったことを理由に契約の無効の主張(および代金の返還請求)をすることになるでしょう。しかし,ここにもハードルは相当高く存在します。それは,不動産という高い買い物(賃貸オーナーであれば,収益を得るとともに管理をしていくものになります)をするわけだから,それなりに契約書や実際の状況をチェックしているのではないかという点と関わります。法律上,こうした無効主張をする場合に重大な落ち度が買主側(このケースではオーナー側)にあった場合,無効主張ができないとされています。どこまで行けば重大な落ち度といえるかは問題になりますが,登記簿と実際の面積の違いが大きい場合に全くチェックをしていないことは,それまでの不動産取引の経歴等も踏まえるとなる可能性はあり得ます。

 こうした場合でも仲介業者がいれば,その業者の説明義務を尽くしているといえなかったことを根拠とした仲介業者への損害賠償請求の可能性も残りますが,落ち度があれば過失相殺という調整がなされることになりますから,なかなか救済を得るのが難しくなる可能性もあります。

 

 結局のところ,購入前に契約書や重要事項説明書の内容をよくチェックしておく,気になることがあれば仲介業者などによく聞いておく・現地に行ってよく確認をしておく等事前の確認が重要になってきます。これまで触れましたように,事後的な対応には限界がありますから,余計な問題を防ぐには事前によく注意をしておくことが一番かと思われます。これによって,物件購入時からの余計なトラブルのためをなくしていくのがいいでしょう。

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