法律のいろは

2022年3月28日 更新行政規制

建設業における保留金と契約上と規制上の問題

保留金や手形支払いの契約上の根拠や問題は?

 建設請負工事は請負に関する法律の規定あるいは契約の定めにしたが,通常は工事が完成し引き渡しをすれば代金の支払いをする義務が生じます。契約上出来高支払いで中途の支払いを行う・引き渡し後一定の期間経過後に代金の支払い義務が生じれば,その日にちまでに支払いをする必要があります。各種約款を利用している場合には,その内容に従っての支払い義務を負うことになります。下請け業者で元請けから支払いを受ける場合には,支払いをいつ・どの程度受けることができるのか・仮に手形である場合には換金のしやすさや法律上の支払い義務がどうなるのかが問題になります。

 

 手形は一定の期日に支払うことを約束する性質のものにここではあたりますが,それまでであっても,金融機関で割引(譲渡による現金化)を図ることは可能です。ただし,手数料分目減りするとともに,支払い期日に譲渡先が回収をできない場合には,手形で支払い約束していた部分のお金の支払い義務を法律上負うことになります(遡求義務と呼ばれるもの)。そのため,手形による回収には一定のリスクがあるとともに,相手先が手形を振り出しているかどうかは信用力を図る上でも一定の目安になる面はあります。

 

 引き渡しにあたっては,検収が存在する場合には出来高が契約で要求されている水準を満たしているかどうかのチェックを一応は受けることになりますが,ここをクリアしないと引き渡しが履行できないことになります。保留金については先ほど述べたように本来は完成をして引き渡しが終われば代金額は支払いをしないといけないので,こうした項目を定めるのであれば契約上の規定が存在しないと特に根拠のない話になります。根拠がないということは単なる債務不履行になりますので,遅延損害金(契約上規定がなければ法定利率,契約で定めればその利率)も支払う必要が出てきます。

建設業法における問題と違反へのペナルテイとは?

 先ほどの契約上の話はトラブルとして未払い金があればその請求を受ける話につながってきます。こうした民事上の話以外に行政側による規制が存在します。こちらは建設業務の適正化のための建設業法による規制であり,建設業の許可を受けた業者・特定建設業の許可を受けた業者ともに規制が存在します。

 ここでいう規制とは違反に対し,許可を受けたのが国であれば国土交通省・都道府県であればその都道府県から違反の有無について調査を受け,是正指導のために必要があれば最悪営業停止を含む処分がなされることになります。あくまでも,違反の是正のための措置ですから,民事上のトラブルの解決を図るための制度ではありません。直接苦情を申し立てたこと(申し立てられたこと)自体が何かしら民事上有利になるわけではありませんが,違反の事実の存在は事業上の大きなリスク要因になります。

 

 下請け代金の規制は,まず,出来高に応じた支払いを元請けから受けた場合にはそこから一か月以内に更なる下請け先(孫請け先)に支払うべきとされています。行政規定の違反は直ちに民事上の契約の効力に影響はありませんが支払い期日をここに違反したものを定めたものは無効になると考えられています。特定建設業の許可を受けている業者については,下請け先からの納品を受け検収を行った後引き渡しを受け,その50日以内(引き渡しの申し出から)に支払いをする義務を負っています。検収を行うために無期限に時間をかけられるわけではなく,こちらも原則としては期間制限があります。遅延損害金に関する規定や一般金融機関が引き受け困難な手形を振り出すことを規制するなど,特定建設業の許可を得ている業者への規制は大きくなっています。

 

 行政からの対応は何かしらの苦情申出がない限りは当然に調査など処分につながるものにはいきにくいですが,トラブルになる場合には苦情申出につながる可能性もありますから無視はできないものと思われます。

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