法律のいろは

2019年5月30日 更新行政規制

仕様変更や工期延長がなされた場合に,費用の負担を下請け先にしてもらうことに問題はあるのでしょうか?

下請け先のミスなどが原因の場合とそうでない場合で異なります

 仕様変更の場合は少ないかもしれませんが,工期が延長になる原因は多き宇久行って二つ考えられます。一つは実際に施工をする側(下請け側を含む)のミスその他の事情によって工事が遅れた場合です。もう一つが施主側の事情や仕様変更その他を行った場合に工期が伸びた(工事内容が増えたことや工期が遅れることもありえます)場合です。

 

 このうち,前者については,請負契約で定めた内容が果たされていないだけですので,履行のために期間が延びたとしてもその負担を責任のある側(下請け側のミスなどであれば下請けサイド)が負うのは当然の話になってきます。これに対して,後者の場合,つまり,下請けサイドに特に原因がない場合まで工期の延長や工事内容の変更の負担を負わせる理由は特に存在しません。特に仕様変更を行った場合には別の工事になるはずですから,追加の契約や費用の問題が出てきます。

 通常は仕様変更に伴う工事内容の見積もりがなされているはずですから,その際の負担を全て追ってもらうことには後述します問題が出てくることになります。また,別契約になるのでその代金請求の話が出てトラブルになる可能性があります。工期の延長というのも工事内容の変更などということであれば,その部分はやはり別の請負工事の契約(厳密には契約内容の変更)になることになります。同様の問題があります。

 

 いずれにしても,工期が遅れた場合にはその原因が下請けサイドかどうかで話が変わってきます。原因がどうかが後でトラブルになる可能性もありますから,工事の経過に関する日報その他の記録はきちんと残しておく必要があるでしょう。もちろん,当初の工事内容などが明確になるための見積書や契約書(注文書と注文請書)についても同様です。

施主の都合による仕様変更の場合等は費用負担を求めることに問題があります

 建設業法上,仕様変更や追加工事が発生した場合には,その旨の契約変更を追加変更工事の前に書面で行う必要があります。修理工事などで工事を進めてみないと最終的にどんな工事が必要かわからず,実際に内容変更と工期の延長が生じた場合には,変更部分と最終工期がはっきりした時点で書面で合意をする必要があるとされています。

 

 こうした違反は,先ほど触れたお金の支払いと負担に関するトラブルにつながりかねない他に,行政による指導やペナルテイのリスクがあります。また,その下請け先が自社にとって取引依存度が高く工事が変更あるいは延長する費用負担を負うことで実質原価割れになるようなケースでは,別の業法違反による行政からの指導やペナルテイを受ける可能性も出てきます。

 

 ちなみに,工期を当初の契約の時点よりも短くする必要が出た場合にも契約内容は変更になります。この場合,短期間で済ますために職人の方の投入を増やすなど費用が増える可能性があります。こうした場合にも先ほどの話はそのまま当てはまります。書類で変更内容を残す必要がありますし,費用負担を下請け先に負担してもらうこと自体に業法違反の可能性(不当に低い請負代金での契約,取引依存度の高い下請け先に自社の優位性を利用して負担してもらうことが必要とされています)があります。

 

 こうしたリスクは把握したうえでの対応が必要になります。

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