法律のいろは

2019年3月16日 更新行政規制

お店のメニューでブランド肉使用の料理と偽って表示したときの法的問題とは?

 先日,某大手チェーン店で、一部違う材料を使用していたにもかかわらず、すべてにブランドの材料を使用しているとの表示をして、消費者庁から景品表示法違反にあたるとして、課徴金を納めるよう命じられたという報道がありました。

 飲食店では,同種のお店が狭いエリアに集中していたりして、お客様の獲得競争が厳しい地区も見られます。他方で食材にこだわりを持つと,天候異変などによる価格の上昇からコスト増になりかえって負担になることもありえます。

 そうはいっても、実際には使用していないものについて使用しているかのように見せて販売すると、上記のような行政処分を伴うリスクも発生します。

 今回は、このような実際には使用していないよりよい食材などを使っている、と表示することによる法的なリスクはどんなものか、について触れていきます。

 

 

 

景品表示法による規制とは?

 先に取り上げました報道のケースは、景品表示法の「優良誤認」にあたるとされたケースです。

 景品表示法とは、一般の消費者(商品やサービスを購入する人)が、購入するにあたって選択の基準とする情報を適切・正確なものとして伝えているかを規制するものです。

 実際よりもよりよく見せかけるような表示がされている場合には、表示通りの特徴などが備わった商品・サービスであると顧客を信じさせて、実際にはそういった特徴を備わっていない商品などを選択する可能性があります。

 もしそういった表示を取り締まる規制がされていないと、販売等する業者からすれば、やったもの勝ちになってしまい,本来表示通りの特徴など備わっていない商品やサービスを販売し放題になり、業者間で公正な市場での競争がされなくなってしまうおそれがあります。

 そのため、こういった一般のお客が誤認してしまうおそれがある表示で、不当にお客を引き寄せ、自主的・合理的な選択ができないおそれがある、不当な表示について規制をしているのが景品表示法なのです。

 景品表示法では、主に3つの不当表示について規制しています。そのうち、商品などの品質や規格その他の内容について、一般のお客に対して実際のものより著しく良いと表示する・事実に反して他の事業者のものよりも著しく良いと表示する場合を「優良誤認表示」として規制しています。

 「優良誤認表示」として規制されるのは、今回のように成分について誤認させる場合だけでなく、受賞の有無(モンドセレクション2017年受賞と表示されていたが、受賞の事実はなかったなど)について偽っていたという場合なども考えられます。

 なお、メニューの表示に関しては、消費者庁が「メニュー・料理等の食品表示に係る景品表示法上の考え方について」というガイドラインを公表しています。メニューの表示についてどういった場合に問題になるかについては、このガイドラインも参考にするとよいでしょう。

 また,食品加工などに関しては食品衛生法などでの規制も存在します。

 

不当表示であるとして景品表示法違反とされたときのリスクは?

 景品表示法違反にあたる行為が行われているおそれがあると一般から情報提供があったり、消費者庁の方で情報把握をした場合、消費者庁は関係資料を集めたり、業者への事情聴取など調査を行うことになります。

 そして消費者庁から指導を行ったり、景品表示法違反がある場合には、業者に景品表示法違反を一般のお客に知らせるよう徹底すること・再発防止策を講じ、業者の役員や従業員に知らせるよう徹底すること・これらについて消費者庁長官に報告すること、違反行為を将来繰り返さないこと、について措置命令を出されることになります。

 今回の報道のケースも、課徴金納付命令が出されるかなり前に再発防止に関する措置命令が出されていたようです。

 こういった措置命令を出されると、メニューなどに不当表示がされていれば、当然差し替える必要がありますし、ポスターや他の広告で不当表示がされていれば回収などしなければなりません。こういった差し替えなどに伴うコストが業者には出て来ます。

 さらにこういった優良誤認の表示があったときは、そのような表示をして取引をした商品・サービスの売り上げの3%分を課徴金として納付しなければならなくなります。なお、課徴金の対象になる行為について事業者が報告をした場合など、一定の要件を満たすときには減免されるケースもありますから、早めの対応が大事になってきます。

 景品表示法はあらゆる商品やサービスの取引についての不当表示を規制していますので、飲食店でのサービス以外でも対象になります。

 飲食店で扱う食品に関しての法規制(健康増進法や食品表示法など)にもひっかかる場合は、そちらの規制も及ぶことになりますので、こういった法律の規制にも目配せしておく必要があります。

 

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