法律のいろは

2018年12月19日 更新行政規制

商品やサービスの広告が思わぬ落とし穴に?役所からのペナルテイのリスク

 ここ数年インターネット上の様々な広告・街中にも新たな形の広告等,自社がサービス提供をしているかどうかを問わず,様々な広告が普段の生活の中にあります。

 一部の業種(医薬品関係や医師や歯科医師・弁護士等)は特別に広告の規制があり,インターネット広告(例えば,Google等)には各企業ごとの規制があります。また,看板などの屋外広告物は法律のほかに地方ごとに規制があり,違反には撤去を受ける可能性があります。
 今回は,あくまでも一般的な話としての広告の規制(広告の作り方の際の話は除きます)とぺナルティの話を簡単に触れていきます。

そもそも,どんなペナルティがあるのでしょうか?

 一番気になるのがどんなペナルティがあるのかという話です。簡単に言えば,

①行政からの会社名と問題となった広告について公表をされ,広告の撤去や撤去をしている場合に再発防止策の提示を求められる概要のもの(措置命令)

②いわゆる罰金的なものでお金を徴収される(課徴金)

といったものがあります。

 企業名公表だけだとダメージは少ないというお考えの方もいらっしゃるかもしれません。実際,毎年公表されるこうした行政からの処分を受けた企業の中には有名企業も含まれそこまでダメージがないようにも見えますが,インターネットその他でニュースとなり情報が出回る時代ですから,風評による売り上げや信用へのダメージは意外と大きいと思われます。

 また,措置命令については,広告を止めるあるいは差し替えをするなど急ぎの対応や費用面などでの負担もより大きくなってくるでしょう。
 課徴金について少し触れておきますが,簡単に言うと,処分の対象となる期間内に広告をしたサービスや商品の売り上げの3%です。

 ただし,ペナルティの対象になることを知らず,きちんと注意もしていた場合や課徴金が150万円に満たない場合,自主的に消費者に返金をした場合など課徴金という形でペナルティを受けない場合もあります。この場合には売り上げの「吐き出し」をしなければいけなくなりますから,ダメージは大きくなります。ちなみに,自主的に先に行動をしていた場合には,課徴金の減額を受けることができます。

 地方の小さな会社は相手にされないだろうという考えもあるかもしれませんが,中央省庁(現在は消費者庁が行います)が発表している公表資料からは,地方の小さな会社も処分を受けています。ちなみに,直近は平成30年11月頭に公表されています。今年(平成30年)の広島での対象企業はありません。一般に行政が広告の問題についてそこまで認識していないといわれていますが,広告を見た方からの問い合わせや苦情から,認識をされるケースがあるようです。

 こうした処分は中央官庁の他に各都道府県も行うことがあります。処分の内容は同じですし,処分をする前に事実関係の調査を行政側が行われ,処分になる前には確実に弁解の機会を各企業に与える必要が出てきます。面倒なのは,行政側が調査をしきれなければ大丈夫というわけにもいかない点があるということです。これは,例えば,広告内容が事実であることを示すように言われた場合には,示せないと事実に反する=処分の対象となりうる,という話です。

どんな場合がペナルティの対象に?

 広告の規制がある理由は,簡単に言えば,消費者が広告を見て実態に反しているのにそうではないと信じて購入する可能性を減らそうというものです。そのため,サービスや商品の性質や内容・価格等買うかどうかで重視をする一定の事柄について,事実に反して著しく優れたものであると示されている・他と比べて事実に反して著しく優れたものと広告されている場合が当てはまります。
 この規制は抽象的に言うと分かりにくいので,厳密には他の場合もありますが,この話にとどめておきます。

 抽象的な話だと難しいので,簡単な例を二つあげてみます。
① A社は,衣料品をネットや店舗で販売をしている会社です。インターネット上で売っている服を着ると「足が細くなる」,「通常価格に比べて安い」と記載していました。しかし,実際には,足が細くなるということはなく,通常価格もA社の設定した任意の価格で特に実績がないものでした。
② B社はスーパーなどを営んでいますが,新聞広告で「この地域で一番の安値」と記載していました。しかし,実際には,一番の安値が何であるかの調査が極めて不十分で,根拠がほぼないものでした。

 ① をみると,「足が細くなる」というのは服を着てみての効果にあたり,品質などに関わる事項で,購入するかどうかで大きな意味を持つポイントの一つです。「通常価格と比べて安い」というのも安いかどうかは購入するかどうかで大きな意味を持つ事項です。こうした品質や価格といった事項で,事実と異なり,他と比べて著しく有利に見せて広告をした場合にはペナルティと規制の対象となります。

 ② についても,地域で一番安いかどうかは同じく購入をするかどうかで重要な事柄で,他社との比較は大きな意味を持ちます。ここで事実に反し,他と比べて著しく有利に見える広告をしてしまうと規制とペナルティの対象となります。

 重要なのは,広告で規制とペナルティを受けるのはごく一部であること・他社との比較広告をすることは原則は許容され,問題があるものが規制を受けるということです。実際にどのような場合に規制を受けるのかは一部は業種・広告の仕方などにより異なるところがありますし,実際にどんな場合が規制を受けるのかはケースごとに考えていく必要があります。
 うちは口コミと紹介で何とかなるというのは非常に素晴らしいことですが,広告の可能性は常にあることから,こうした事柄にも注意をしていきたいですね。

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